仲間
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私の能力の事や海軍の研究所にいた事を話し終えると…いや、話している最中も皆はずっと静かだった。
『…以上が私についての全てです。』
俯いて、ギュッと拳を握る。
…拳を、握る…?
気持ち悪がられるなんて、人として見てもらえないなんて慣れているはずなのに……
…私、会ったばかりだけど…この人達に、そういう風に見られるのが怖いんだ…。
どこか他人事のように思っていたら、いつの間にか目の前にルフィさんがいた。
その瞳は何故かキラキラとしていて…え、キラキラ??
『あ、あの…ルフィ、さん?』
「す…」
『す?』
「す…っげぇぇ!!!」
『………え?』
予想していなかった言葉に思わず固まってしまう。
そんな私を他所にルフィさんは興奮した様子で話を続けた。
「なぁなぁ、風と水操れるんだろ!?だから空から降ってきたのか!?」
『え…えぇ、飛んで逃げてきたから…』
「「すっげえぇぇ!!!」」
ルフィさんの他に二人分、声が増えた…ウソップさんにチョッパー君だ。
全く予想出来ていなかった展開に、全く頭がついていかない。
『……ですか…』
「ん?」
『…私の事、気味が悪く無いんですか…?』
「なんで??」
『なんでって…だってこんな、過去に例が無い異端な存在…』
そう言う私に、ルフィさんは首を傾げてさも当然と言わんばかりに口を開いた。
「だって、お前はちゃんと今ここに存在してるじゃねぇか。」
…ルフィさんの言葉が、胸に広がっていく。
「喋ってるし、動いてるし、血だって流れるし…」
そこまで言うと、彼はニカッと太陽みたいに笑いながら言った。
「会ったばかりの俺達の心配してくれる、すげー良い奴じゃん!なんで気味悪がらなきゃいけねぇんだよ!」
ルフィさんの言葉に、他の人達も笑ったり頷いたりしてくれて…
『…わ、たし…仲間に、なっても…良いんですか…?』
「当たり前だろ!お前は…サクラはもう俺達の仲間だ!」
ニシシ、と笑うその笑顔が涙でぼやけて見えない。
…ずっと、“私”と言う人間の居場所なんて…ううん。“私”が存在していい場所なんて無いと思っていた。
産まれてから今まで、“私”と言う人間を誰も見てくれなかった。
“精霊の加護を受けた異端な存在”“AB-536”と言う“兵器”…
…人間らしい扱いなんてされた事、ほとんどなかったのに。
泣き方だって忘れていたくらいなのに。
…それでも、この船の人達の優しさで私は嬉し涙を流していた。
嬉しくて泣くなんて、一生経験出来ないと思っていたし、“嬉しくて涙する”と言う仕組みがよくわからなかった。
泣くほど嬉しい事ってどんな事?
泣くほど幸せってどんな事?
…こういう、事なんだ…。
涙が溢れて止まらないのに、心はポカポカ温かい。
涙が溢れて止まらないのに、全然悲しい気持ちにならない。
“生きていて良かった。”
…生まれて初めてそう思った。
仲間
(嬉しい、幸せ、ありがとう…)
(…言いたい事はたくさんあるのに、全部嗚咽に消えてしまう。)
(それでも皆は全てわかっているかのように笑ってくれていて…)
(…どうしよう、涙…本当に止まらない…)