大切な女
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女は島の反対側、雑木林の中まで俺達を連れて来ると口を開いた。
「…クレア様の命により、貴方達を逃がします。」
「え?」
「先程の、クレア様が私の頭を撫でる仕草はこういう裏の命令だったのです。」
そこまで言うと、彼女は腰を降ろした。
「でも私達を逃がしたら貴女達が危ないんじゃないかしら?」
ロビンちゃんの問いに、彼女は唇を噛み締める。
「…先程の仕草にはもう一つ、 私達を解雇すると言う命令も含まれています。」
「解雇?」
「はい。 ...要するに、私達にも逃げろと仰っているんです。」
「!!」
「クレア様はどこまでも優しいお方です。 貴方達を逃がした上に私達まで逃げたと言う責任を全てお一人で背負われる気でいます。」
「そ、それじゃあいつがヤバいんじゃないのか!?」
「あの男はクレア様を溺愛しております。 殺される事は無いでしょう。」
ただ、と言葉を詰まらせた彼女は深呼吸し、震える声で告げた。
「…っもう二度と、塔から出られなくなるんです。」
「「!?」」
「今までは抜け出せていましたが、結婚したらあの男はクレア様を本格的に監禁するつもりです。足枷の用意をしている所を見ました。」
「あ、 足枷!?」
「…全て、クレア様にご報告してあります。ですが、何度“逃げましょう”と言ってもあの方は首を立てには振りませんでした。」
「…な、 何でだよ?」
ウソップが聞き返すと、彼女はゆっくりと顔を上げる。
「大切な場所を守る為、と仰っていました。」
「!?」
「クレア様が逃げ出したら、海軍をそこに一斉に向かわせると脅されているんです。」
その言葉に、くわえていた煙草を落とす。
…あの馬鹿、また一人で抱え込みやがって…!!
イラつきながら足で煙草の火を消すと、彼女はぼろぼろと泣きながら話始めた。
「…私達は、元は海賊でした。」
「海賊?」
「はい。ですが嵐で船が沈み…今ここにいる人間だけがこの街に流れ着きました。」
「…。」
「全員瀕死の状態でした。それをクレア様が必死に看病して下さり…あの方がいなかったら私達はここにはいません。」
「ヘー、本当いいやつなんだな。」
「…ですが、領主達は当然それを良くは思いません。私達を看病し、部下にする等許すはずもなく…っクレア様の背中に焼印を押す事を条件にそれを許したのです。」
「!?」
「背中の印はあの男の所有物である証…それを、見ず知らずの私達を助ける為にクレア様は受け入れたのです。」
周囲から鼻をすする音が聞こえる。
…焼印…っ。
「…私達は、クレア様に頭を撫でられた時点で彼女の部下では無くなりました。」
そう言うと、女は勢いよく頭を下げた。
「これは、あの方の友人としてのお願いです!!どうか…っどうか、クレア様を助け出すお手伝いをしていただけないでしょうか!?」
「!」
「貴方達は麦わら海賊団の皆様だとお見受け致しました。元海賊ですから、貴方達にこんなお願いをするのなんて間違っているとは分かっています…それでも!!」