鈍感になっていく
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
屋敷までの道を走って帰る。
…ドンキホーテ様に誘われた興奮からも多少はあるが、どちらかと言うと保身の為に。
『…っただいま戻りました!!』
「遅い!!!」
バシッ!!
『…っ…』
腕に痛みが走る。
…執事長に殴られたのだ。
「酒を買いに行くだけで何時間かかってるんだ!」
『…ごめんなさい!次からは気をつけます!!』
勢い良く頭を下げると、執事長はもう一度私を殴った後「さっさと他の仕事をしろ。」と言った。
『はい!わかりました!!』
それに笑顔で返事しながら、私はその場を後にした。
…“跡取り”から“召し使い”へと変わったあの日以来、この屋敷では奥様の命で私への暴力が許されている。
ただし顔は町の人間に見られるから、と言う理由でメイド服に隠れる範囲でのみ。
元々“私”と言う存在を認めていなかった執事長達は日頃のウサ晴らしも混ぜながら私を殴る。
おかげで腕には無数の青アザがある。毎日殴られてるから治りやしない。
…昔は殴られる度に“痛い”と泣いていた。怒っていた。
でもそれをするともっと酷くなる。
笑っていれば皆「何をしていても笑っていて気持ちが悪い」と気味悪がってそれ以上酷い事はしない。
『…“ゴミ”とか“汚い”とか言うなら触らなければ良いのに…。』
ふぅ、と溜め息をつくが相変わらず私の顔は笑っていて。
痛みにまで慣れてきて。
…いつから私は人らしさを無くしたのだろう?まぁここで私が生きて行くには人らしさなんて必要無いのだけれど…。
『…とりあえず、22時までには仕事終わらせなきゃ。』
七武海であるお方を待たせるワケにはいかない。
一つ深呼吸をしてから私はいつもより急いで仕事を片付けた。
痛みに鈍感になっていく
(…いっその事感情なんてなくなってしまえばいいのに。)