優しい唇
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「……じゃあこれで取り引きは成立、で良いですか?」
「あァ。」
薄暗い部屋で行われていた“裏”の仕事が一段落ついた所で、胸に入れていた電伝虫が鳴り出した。
それが、カレンの護衛…つっても、カレン本人に気付かれないように尾行させているンだが。真横に護衛がいたンじゃあいつは気遣って楽しめねェだろうからな。
…とりあえず、そいつからの連絡だったので胸がざわついた。
俺が受話器を取ったと同時に、部屋にノックの音が響く。
「失礼します!」
「こら、ドフラミンゴ様の前だぞ!」
「すみません、ですが……」
「なに!?本当か!!」
【若様、お仕事中に申し訳ございません。】
「構わねェよ、どうした?」
【実は……】
「……フフ…フフフ!!よしわかった、じゃあ……」
取引相手は部下達とのやり取りに気が向いているらしく、俺達の会話は一切耳に入っていねェようだった。
「……以上だ、良いな?」
【解りました。】
ガチャンと受話器を置いた所で取引相手の方を見ると、上機嫌で俺へと話しかけてきた。
「ドフラミンゴ様、今しがた良い“商品”が手に入りましてなぁ…」
「ほぅ?」
「あぁ、先程ノックもなあなあに部下達が入室してきまして申し訳ございませんでした!私が確認して最初の値段をつけなくてはいけなくて…今からなら今日最後のオークションに間に合います故…しかしなかなか良い商品ですので、もしドフラミンゴ様がお気に召しましたらこの場でお譲り致したく思いまして。」
「御託は良い。」
「ははは!わかりました…おい!」
取引相手が声をかけると、部下の一人が担いでいた麻袋を床に下ろす。
「さぁとくと御覧あれ!肌は雪の様に白く、眠っている姿はまるで作り物であるかの様に美し…」
「待て。」
取引相手が麻袋の口を開こうとするのを、片手をあげて制した。
怪訝な顔をする奴に作り笑いを浮かべつつ、口を開く。
「…実はな、俺の女が何者かに連れ拐われたと先程部下から連絡がきた。」
「え?」
「その女は雪の様に白くて、眠っている姿もまるで作り物みてェに美しい女だ。」
「!?」
「しかも、そいつはこの建物に運ばれたらしい。」
「ま、まさか…!?」
「…さァ、その袋開けてみてくれよ。もし俺の女がそこにいたら……わかってンだろうなァ?」
と、その時。丁度良いタイミングで俺の部下が部屋に到着し、真っ青な顔をしている奴等に構う事なく麻袋の口を開ける。
…そこにいたのは、紛れもなくカレンだった。
「フッフッフッ…ビンゴ、だ。」
「では若様、私はカレン様を連れて先に船へと戻ります。」
「あァ、頼ンだぜ…俺もこいつらを始末したらすぐに戻る。」
「「ヒ、ヒィィイ!!!」」
コキ、と指を鳴らす。
さて、首を切り落とすかそれともこいつら同士で殺し合わせるか…
…どちらにしろ、
「俺の女に手ェ出した事…あの世で後悔しやがれ。」
助けを乞う言葉なンか聞くワケもなく、指を曲げた。