温かい
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『……?』
ゆっくりと目を覚ますと、見慣れた天井が目に移る。
「…目が覚めたか。」
『!』
ボーッとする頭でゆっくりと辺りを見回していると、もう二度と聞けないと思っていた声が聞こえてきた。
返事をしようと口を開くが、返事より先に咳が出てしまう。
『ッゴホゴホ!!』
「…いい、無理して話すな。2日間眠ってたンだ、お前。」
身体を起こし、差し出された水を受け取り流し込む。
…ものすごく喉が痛い。
「…雨の中、倒れてた。」
『…。』
「あのままだったら危なかったってよ。」
『…。』
ポツリポツリと話すドンキホーテ様の言葉に、あの夜の事がまざまざと脳裏に浮かぶ。
ぎゅっと膝の上で拳を握ると、その上に大きな手…ドンキホーテ様の手が重ねられた。
「…悪かった。」
『…ドンキホーテ、様…?』
ようやく出た声は酷く掠れていて。
けれどドンキホーテ様は私の声じゃなくて言葉に悲しそうに顔を歪めた。
「…もう、名前で呼ンでくれねェのか?」
『…え…?』
「まァ、当然っちゃ当然か。」
自嘲気味に笑うドンキホーテ様の意図が分からず、そのお顔を見つめる。
『だ…って…あの、女性…は…?』
「…信じちゃ貰えねェかもしンねェけど…あいつとは何もねェ。」
『…え…』
「…昔は確かに仕事の為に身体を重ねた事もあったが…今の俺にはお前だけだ。」
『!』
「もう仕事でも女と関係を持つ事はしねェ。」
そこまで言って、ドンキホーテ様は恐る恐る私へと手を伸ばし、ゆっくりと抱き寄せた。
「あのキスは、いきなりされて避けられなかったンだ。」
『…ほ、んと…ですか…?』
「あァ。あの女とも縁を切ってきた。」
『…っわ、たし…お、仕事の…邪魔を…』
「邪魔なンかじゃねェ!!」
珍しく声を荒げたドンキホーテ様に、思わず身体が跳ねる。
そんな私を彼は更に強く抱き締め、少し震える声で言葉を紡いだ。
「…カレンの代わりなンて、いねェんだよ…」
『…あ…』
「本当に悪かった…もう二度とあンな事ねェようにする。だから…」
そっと身体を離したドンキホーテ様が、サングラスを外して私の額と自分の額を合わせる。
あまりの近さにドキドキしてしまうけど、またこんなに近くで触れ合えるなんて思っていなかったから心は喜んでいて…。
「…だから、また名前で呼ンでくれねェか…?」
『…そ、ばに…いても…良い、んですか…?』
「…側にいてくれ。ずっと。」
『…同情、じゃ…』
「俺は同情で誰かを側に置く程、心が広くねェ。」
『…っ…』
「さっきも言ったが…俺には、カレンだけだ。お前以外の女なンていらねェよ。」
彼の言葉に、とうとう涙が溢れ出た。