面白い女
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目の前で綺麗に笑う女を思わず見つめる。
“七武海のドフラミンゴ”は怖いけど目の前にいる“俺”は怖くないと言う。
「フフ、フフフ!面白ェ嬢ちゃんだな!」
『そうですか?』
「あァ。…気に入った。」
『それは光栄です。』
「酒も美味いしなァ!」
女が作った酒はどの酒場で飲んだ酒よりも美味かった。
『それは良かったです。』
「作り慣れてンのか?」
『いいえ、最近プロの方に教わりました。ふふ、自分で言うのもアレですけど、筋が良かったみたいです!』
笑う女に、ふと心にその笑顔が引っ掛かる。
職業柄、色んな奴の作り笑いを見てきたが、その作り笑いには全て俺への媚びや恐怖の色が強く滲んでいた。
…だが、この女の笑顔は違う。
俺に恐怖しているワケじゃない。
俺に媚びようとしているワケでもない。
ただ笑顔を張り付けているだけだ。その笑顔の裏には何の感情も見えない。
「おい、嬢ちゃん名前は?」
『…ドンキホーテ様に名乗れるような名は持ち合わせておりません。』
「あ?」
『私のような下賎の民の名等、お耳に入れるのも申し訳ありませんから…。』
そうして女はニコリと綺麗に笑う。
まるで自分を外界から遮断するかのように…。
「…面白ェ。」
口角が上がっていく。
この俺に名を尋ねられたのに、恐怖する事もましてや喜ぶ事もせずに名乗らない人間なんて初めてだ。
それが“女”なら尚更面白い。
グイッと酒を飲み干し、女を見遣る。
「…屋敷での仕事は何時までだ。」
『え?だいたい22時頃までですけど…。』
「そうか。じゃあ23時にまたこの店へ来い。」
『……はぃ?』
「フフフ…2、3時間相手してくれよ。なァに、相手つっても酒作って話し相手になってくれりゃあ良い。」
『…私なんかでよろしいのですか?』
「あァ。お前に興味が沸いた。…屋敷の仕事が終わってからならゆっくり話せんだろ?…今みたいに時間を気にする事無く。」
『!!す、すみません大変失礼な事を…』
「いんや、気にすんな。」
そう言えば女は少し安心したように息をついた。
「おい店主!!構わねェな!?」
「は、はひぃ!!!」
「フフフ、ならとりあえず帰るぜ…また夜にな、嬢ちゃん。」
『は、はい!!』
カウンターに適当に札束を置いて店を出る。
…フフフ…女に会うのが楽しみだなんて初めてだな。
面白い女
(女を買う店も無いつまんねェ島だと思ってたが…フッフッフ、なかなか楽しめそうじゃねェか。)