後悔
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激しい雨の中、傘もささずに街中を走り回った。
身体が濡れて怠いがそンな事気にしてらンねェ。
「…っどこだ…!」
カレンがどこに行ったのかなンてまるで検討がつかなくて、柄にも無く焦る。
…俺は、カレンの事全然分かってねェんだな…。
「…チッ…」
今更だがクルーも総出で探すか。
電伝虫を置いてきた自分に再び舌打ちしつつ、来た道とは別のルートで船へと戻る。
路地裏を進んでいると、道の真ん中に見覚えのあるコートが落ちて…
…いや、違う…コートだけじゃねェ…
『…。』
「っカレン!!!」
ピクリとも動かないカレンに駆け寄り、身体を抱き起こす。
呼吸は弱々しく、顔は死人みてェに真っ白だ。
上から下までずぶ濡れなのに、そっと触れた首筋は燃えるように熱い…っ風邪が悪化してる所の話じゃねェぞ…!?
俺自身もずぶ濡れだからあまり意味はねェとわかってはいるが、上着を脱いでカレンを包み抱き上げる。
船へと走る道中、頭に浮かぶのは自身を責める言葉ばかり。
あン時、あの女を直ぐ様突飛ばしてカレンの元に行って誤解を解いてりゃこンな事には…っくそ!!
「若様!?それにカレン様…!?」
「俺の部屋にすぐ船医を呼べ!!」
「は、はい!!」
部屋に入り、ソファにカレンを寝かせた。ずぶ濡れのままベッドに寝かせたら夜こいつが寝る場所が無くなるからな。
カレン専用のクローゼットから適当に服を取りだし、最早洋服の意味をなしていない程濡れた服を脱がせる。
「…っ…」
…痣は、腕だけだと思っていた。
しかし俺の目に移ったのは、背中一面の、痣…。
大分薄くなってきてはいるが…それでもかなり痛々しい。
「…悪かった。」
身体をタオルで拭いてやり、着替えさせながら謝罪の言葉を呟く。
俺はこいつの何を知ったつもりでいたンだ?
勝手に痣は腕にしかねェと思い込み、他の箇所の痣の存在すら確かめようともせず。
カレンの心の傷の深さだって、きっと俺が思っているよりも遥かに深い。
…こンなンでよく「笑顔が見てェ」とか言えたな、俺…。
自分自身も適当に着替え、相変わらず真っ白な顔のカレンをベッドに運んだ所でようやく船医がやってきた。
…あのまま雨の中にいたらやばかったらしいが、とりあえずは命に別状は無いらしい。
完治するまでに時間はかかるとの事。
…こンだけ高い熱出してりゃ当たり前だ。
処置を済ませた船医が部屋を出た後、ベッドに腰掛けカレンの頬を撫でる。
「…悪かった、本当に…。」
…二度目の謝罪は、自分でも笑えるくらい情けねェ声色だった。
後悔
(…目を覚ましたら、お前はもう一度俺に笑いかけてくれるか?)