笑顔の仮面
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夜でも分かる、厚くて黒い雲。
…多分これは降りだしたら一気にどしゃ降りになるな。
傘を抱えて足早に向かうのは、クルーの方に聞いたこの街で一番高級なレストラン。
時間帯は夕飯時を少し過ぎたくらいだし、もしかしたらそこでドフラミンゴさんは食事を摂ってるかも、と教えてもらった。
…ついでに、今日のお仕事相手は女性であると言う事も。
正直、少し胸が痛むけど…お仕事なら仕方ないし、それをとやかく言う程ワガママでも無い。
多分もの凄く綺麗な方なんだろうなぁ…と、いけないいけない。
最近の私はドフラミンゴさんの前ではすぐ思っている事が顔に出てしまう。
…こんな、ヤキモチ妬いてますと言わんばかりの顔で会いに行くワケにはいかない。
レストランが見えたので一度立ち止まり、深呼吸をして自身を落ち着かせる。
丁度その時レストランの入り口が開いてドフラミンゴさんが出てきた…予想通り、もの凄く綺麗な女の人と一緒に。
『ドフ……!?』
声をかけようとした私は、目の前の光景に思わず目を見開いて固まる。
一緒に出てきた女の人が、
ドフラミンゴさんの首に腕を回し、
……唇に、キスを…した。
「っカレン!?」
女の人から身体を離したドフラミンゴさんが私を見て驚く。
…咄嗟に俯き、視線を逸らす。
頭の中では同じ言葉がぐるぐると回り続ける…なんで?どうして?
…きっと、女の人がいきなりキスしたから避けられ無かったんだよ。
――――ズキン
…仕事上、必要だったとか…
――――ズキンズキン
…仕事…で、必要なら……
――――ズキンズキンズキン
仕事の邪魔になる私のこの胸の痛みには気付かれちゃいけない。
「…カレン?」
「なぁに、あの子。」
女性の声はとても冷たかった。
…まるで、あの屋敷の人達のように。
あぁ、きっと彼女はドフラミンゴさんが好き…いや、もしかしたらもう特別な関係なのかもしれない。
後からやってきてそこに割り込んだのは私。
…邪魔者は、私…。
「…カレン、」
再びドフラミンゴさんが私の名前を呼ぶ。
…きっと、私のこの感情に気付いたら彼はすごく気にしてしまうだろう、優しいお方だから…。
再び深呼吸をしてから私は、声が震えてしまわないように注意しながら口を開いた。
『…お、邪魔してしまい、申し訳ございません。』
「は…?」
ドフラミンゴさんの声を聞く度泣き出してしまいそうになる。
笑わなきゃ。
『雨が、降りそうでしたので…』
大丈夫、笑顔は得意。
『っか、傘を…と思いまして…』
…っ笑え!!!