面白い女
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『寒いなぁ…』
雪が降りしきる中、しかも夕暮れ時をメイド服一枚で歩くのはやはり厳しい。
この島は一年中秋と冬のような気候を繰り返す。
だから多少は慣れはしたが…うん、やっぱり寒い。
けれど我慢するしか無いのだ。
コートやマフラーなんてアイテムは支給されていないから。
多分どこかで凍え死ねば良いくらいに思われているんだと思う。
屋敷は島の一番高い位置にある為、酒場までは徒歩で30分くらいかかる。
カランカラン
『こんにちはー!お酒買いにきましたー!』
「…あ、あぁ…。」
『あ、先にお金お渡ししますね!』
「…。」
島の人達は私と関わるのを恐れている。
少しでも優しくしたのがバレるとこの島を追い出されるから…。
それにももう慣れっこなので、特に気にする事も無くお酒を受け取り、酒場を後にしようとした時だった。
カランカラン
「フッフッフ…邪魔するぜェ。」
入口が開き、入ってきたのは3m程もある巨体に、サングラス。そしてピンクのもふもふした上着…
「ド、ドンキホーテ・ドフラミンゴ…!?」
そう、“あの”ドンキホーテ・ドフラミンゴだった。
彼に続いて3人程男(おそらく彼の部下だろう)が入ってくる。
この島に海賊が来る事は滅多に無い。
しかも相手は七武海だ。
チラリと酒場の主人を見遣れば、気の小さいと評判の彼は腰を抜かしてしまっていた。
…けど、彼の機嫌を損ねればこんな小さな島は簡単に消えて無くなるだろう。
意を決した私はドンキホーテ・ドフラミンゴと向き合った。
『いらっしゃいませ、ドンキホーテ・ドフラミンゴ様。』
「あァ?」
『このような小さな島にようこそおいでくださいました!ご注文は何にいたしますか?』
…笑顔ならいくらでも浮かべられる。
注文された酒を作っていると、彼の方から話し掛けてきた。
「フフ、可愛い店員サンだな。」
『いいえ、私はこの島の領主の下で働くメイドにございます。』
「…店員じゃねェのか?」
『はい。ただ…酒場のご主人が腰を抜かしてしまいましたので、代わりに私が。』
「フフ、フフフ!嬢ちゃんは俺が怖くねェのか?」
『怖いですよ?』
はっきりと告げた私に、彼は口元の笑みを強くした。
作った酒を運び、彼等の前へと差し出しながら私は続けて口を開く。
『でもそれは“七武海のドンキホーテ・ドフラミンゴ”様の事で、今私の目の前にいる一人の“ドンキホーテ・ドフラミンゴ”様と言うお方の事は怖くありません。』
「…は?」
『人を噂だけで判断するだなんて失礼でしょう?どんな噂が流れていても、話してみたら良い人かもしれないですし。』
この言葉に嘘は無い。
…私自身、“不倫相手の子だからきっとあの子も汚らわしい”なんて噂されて嫌な思いをしてきたから…。