名前を呼んで
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『私、近い内にヒューマンショップに売られる予定だったんです。』
…カレンの言葉に全てが繋がったような気がした。
屋敷の人間がこいつの顔を傷付け無かったのは、傷物じゃ高く売れねェから。
殺さずにメイドの仕事を押し付けていたのは、メイドの仕事が出来た方が高く売れるから。
プロに酒作りを学ばせたのも、そっちの方が高く売れるから。
防寒着を与えなかったり、必要最低限の食事しか与えなかったのはどンな環境でも耐えられるようにする為…ま、うっかり死ンでくれたらそれで良しとでも思ってたンだろ。
…チッ、考えれば考える程胸糞ワリィ…。
『買い出し中に人攫いにあった、と言う体で行く気だったみたいで…本当はいつ連れて行かれてもおかしくは無かったんです。』
…あの島に滞在中、やけにカレンの周りをうろちょろする虫がいると思ったらこれのせいか。
フフフ…殺しといて正解だったな。
今までは良いビジネスの一つだったが、カレンが売られそうだったと聞いた途端、ヒューマンショップがすごくゴミみたいに思えた。
…そろそろ飽きたしな。ディスコにでも譲るか。
そンで俺自身はヒューマンショップからは手を引こう…つってもウチのマークは使われるだろうが、気分的に。
俺に喜んでもらえるから酒作りを学べて良かったと笑うカレンに、初めて恋をした少年の様に胸が高鳴った。
『ドンキホーテ様、明日は何時に起きられますか?』
「8時。…なぁ、それ止めねェか?」
『え?』
「“ドンキホーテ様”って呼び方。フフフ、恋人にそンな他人行儀な呼び方されりゃあ俺だって悲しいぜ?」
『えぇ!?いや、でも…で、でしたらどのようにお呼びすれば…』
「普通に名前で良いじゃねェか。」
『な、名前だなんて…!!』
「フフ…ちなみに“様”付けは無しだからなァ。」
『そ、そんな!!』
顔を赤くしたり青くしたりするカレンが可愛いと思ったが、同時にそんなに困る事なのかと思うと面白く無い。
グイッ
『っきゃあ!?』
…柄にも無く寂しく感じ、せめて肉体的な距離だけでも埋めたくてカレンの腕を引いて抱きしめた。
「…呼べよ、カレン。」
『~っ!!』
わざといつもより低い声で耳元で囁けば、あっという間に真っ赤に染まったカレン。
「なァ、」
『ド…ドフラミンゴ……様……』
「フフフ…様を付けたからやり直しだ。」
『…ド、ドフラミンゴ……さん。』
「聞こえ無ェなァ?」
『っドフラミンゴさん!!』
「フフ!フフフ!!」
半ばヤケになって叫ぶように俺の名を呼んだカレンに愛しさが溢れる。
…フッフッフッ、俺もただの男だったんだな。
名前を呼んで
(ドンキホーテ様、おかわりは?)
(…戻ってンじゃねェか。)
(きゅ、急には無理ですっ!!)