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夜になり、部屋に備え付けてある小さなバーカウンターでドンキホーテ様にお酒を作る。
「ﾌﾌﾌ…本当カレンが作る酒は美味ェな。」
『ありがとうございます。』
「…プロに教わった、っつってたが…何故だ?」
その質問に、私の動きは止まる。
そんな私をドンキホーテ様は不思議そうに見つめてきた。
「カレン?」
『…高く、売る為です。』
「は?」
『…っ私、近い内にヒューマンショップに売られる予定だったんです。』
「!」
『…買い出し中に人攫いにあった、と言う体で行く気だったみたいで…本当はいつ連れて行かれてもおかしくは無かったんです。』
だからドンキホーテ様が助けてくださって良かったです、と笑ったら彼は溜め息をついてグラスを置いた。
『ドンキホーテ様?』
「…無理に笑うなくて良い。怖かっただろ?」
『…っ』
「ﾌｯﾌｯﾌｯ…何回も言うが、俺はお前を手放す気はねェ。」
『…ドンキホーテ様は優し過ぎます…。』
「お前にだけだ。…もし酒作りが辛かったら無理すンなよ。」
『む、無理なんかしてません!その…確かに今まではお酒作るの、嫌でしたけど…』
一息ついてからゆっくりとドンキホーテ様の手を握る。私の思いが少しでも掌から伝わるように…。
『…今は、お酒作りを学んで良かったと思っているんです。…だって、ドンキホーテ様に喜んでいただけるから!』
「!ﾌﾌ!ﾌﾌﾌ!!あァ、お前が作る酒は俺専用だぜ?」
『…っはい!』
ドンキホーテ様の一言一言がとても嬉しくて、自然と笑顔になる。
…まだ、彼の前以外じゃ作り笑いしか出来ないし、彼の前でも作り笑いをしちゃうけど……少しずつ、“私”になれたら良いなぁ、なんて思った。
