一面の銀世界
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酒場にて、誰かが口を開いた。
“あの娘はまるでシンデレラだ”
その言葉にある者は頷いた。
“継母達からあんな酷い扱いを受けているのによく働く”
またある者はこう続けた。
“辛いはずなのにいつも笑顔だ”
しかし彼等は気付いてはいない。
シンデレラと比喩された彼女には焦がれる王子様や助けてくれる魔法使いがいない事を。
よく働くのは、そうしないと更に酷い扱いを受けるからだと言う事を。
いつも笑っているのは、他の感情の表現方法がわからなくなってしまったからだと言う事を…。
彼等の話を聞いていた男が静かに呟いた。
“この島で平和に暮らしたかったらあの娘には関わらない方がいい”
…こうして今日もまた“シンデレラ”は見捨てられるのだ。
笑み以外の感情の出し方が分からなくなった彼女は、大きな屋敷で蔑まれながらも笑顔を浮かべる。
辛くても
悲しくても
腹が立っても
彼女には笑う事しか出来ない。
…季節は冬。ひたすらに雪は降り続けた。
それはまるで、あの娘が可哀相だと泣いているかのように…
一面の銀世界
(彼女の心も冷え切っていた。)