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ザシュッ
……確かに包丁が何かに刺さる音がしたのに、私は痛みを感じない。
人間、死を受け入れると安らかに逝けるものなのかな…
「な…んで…!?」
奥様の戸惑う声が聞こえ、恐る恐る目を開ける。
そこには、私の首の真横スレスレに包丁を振り下ろした姿で驚き固まる彼女の姿。
…彼女は、確実に私を殺す気だった。今更躊躇うなんて事は有り得ない。
じゃあなんで包丁は私に刺さっていないの?
「身体が…動かな…っきゃあ!!」
『!?』
まるで、何かに吹き飛ばされたかの様に彼女の身体は動き、壁へとたたき付けられた。
「フフフ…てめぇごときがカレンに手ェ出してンじゃねェよ。」
…これは、幻…?
それとも私、本当は一瞬で死んでしまって…夢でも見てるの?
「ギリギリセーフだったなァ。」
…だって、有り得ないよ…
「立てるか?」
つい先程まで頭に思い描いていた彼が、私を助けてくれただなんて…
「…フフフ…何泣いてやがる。」
…優しく、私を抱きしめてくれているなんて…
「…怖かったな。」
…っ有り得、ない…!!
『ドンキ、ホーテ様…?』
「あァ。」
『…わた、し…都合の、良い…夢でも、見て、るので、しょうか…?』
「フッフッフ!夢じゃねェよ!」
『だって…なんで…』
お会い出来て嬉しい気持ちと、何故ここにいるのかと言う疑問とで私の頭はごちゃごちゃしている。
「フフフ…それはなァ、」
『きゃあ!?』
戸惑う私を、ドンキホーテ様は所謂“お姫様抱っこ”で持ち上げた。
「生憎俺はオウジサマなんて柄でも歳でもねェ。」
『え?』
「泣く子も黙る海賊だ。フフフ…だから、シンデレラ…カレンを屋敷から攫いに来た。」
『…私、を?』
「あァ…オウジサマなんかに、渡してたまるかよ。」
…どうしよう。自分に都合の良い言葉ばかり聞こえてくる。
全く信じられない内容なのに、ドンキホーテ様の温もりや笑顔が、これは現実なんだと教えていて…。
「フッフッフ!言っとくがお前に拒否権はねェからな!」
『…っいらない…拒否権なんて、いらないです…!!』
「フフ!フフフ!!」
ぎゅっ、と彼の首に腕を回して抱き着けば、至極嬉しそうにドンキホーテ様は笑った。
望んでも良いのなら
(…もっと、ドンキホーテ様と、一緒に、いたい、です…!)