さよなら人生
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翌朝、ここ数日の…いや、今まで生きてきた中で一番気が重い目覚めだった。
『…支度、しなくちゃ…。』
普段まともに取れない昼休みを獲得する為にはいつもの倍の速度で仕事をこなさなくては行けない。
…せめて、お見送りには行きたいから…。
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『…よし、午前中の仕事、おしまい!』
かつてない速度で仕事をこなし、時刻は11時30分。
…港まで走って行けば12時には間に合うし、少しお話も出来るかな…。
そう思いながら裏口から屋敷を出ようとした時だった。
「おい。奥様が呼んでいらっしゃる、すぐに伺え。」
『え……はい。』
普段、一切関わろうとしないクセに。
私の事をゴミみたいに扱うクセに…
…なんで、今日に限って…
内心溜め息をつきながらも作り笑いを浮かべる。
ここで逆らったら、私は生きていけない。
…話や暴力が10分で終わればなんとか間に合うんだけど…。
トントン
「…入りなさい。」
『失礼いたします、奥様。何か御用でしょうか??』
頭を深く下げながら尋ねる。
身体には力を入れ、いつ来るかわからない痛みに備えた。
「…あの人が出て行ったわ。」
『え…あ、存じております。』
「ふふふ…果物屋の家族は全員島から追い出さなきゃね…」
『…っ』
その声色にゾクリとした。
笑ってはいるけど、全く感情の無い声…。
「…思えば…貴女にも随分と冷たく当たってしまったわね…」
『い、いえ…』
「ごめんなさい。」
『!』
謝罪の言葉が聞こえ、初めて下げていた頭を上げる。
…彼女は、謝る気なんて…ない…
「でも、もう楽にさせてあげるから…」
『ら、らく…?』
奥様がこちらを向いた瞬間、キラリと光った物…
「全て、終わらせてあげる。」
グッ、と包丁を握る手に力を込める彼女。
…彼女は、私を殺す気なんだ…!