名前
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壊れた“心”はもうどうにもならないと思っていた。
このまま段々感情も人間らしさも無くなっていくんだ、って…
「…まァ、砕けちまったモンは元には戻らねェな。でも、その破片集めて溶かして固めりゃ…新しいモンが出来るんじゃねェか?」
…そう、ドンキホーテ様が言って下さった瞬間、視界が晴れたような感覚がした。
そんな考え方したことなかった…と言うより思いつかなかった。
…まだ、どうにかなるのかな?
ドンキホーテ様のおかげで冷え切っていた心は温かくなった。
ドンキホーテ様のおかげで砕け散った心は溶かされた。
…そしてまた、その溶かされた物はドンキホーテ様のおかげで固まりつつある。
ドンキホーテ様がこの島を出ていった後もきっと、私はあのお方との思い出があるから大丈夫。
どんなに殴られても、蔑まれても…
一度“幸福”を味わえたから。
“アレ”とか“オイ”じゃなく…ちゃんと、名前を読んでもらえたから…。
本当はずっと、自分の名前が嫌いだった。
誰も読んでくれない名前なんていらない、ってずっと思っていた。
…私の名前は、産みの親である元メイドの女性がつけたらしい。
そこに愛なんて無いと思っていた。
“私がつけた名前を呼ぶ度に、私を思い出すが良い。屋敷を追い出されても、私の存在は消えない。”
…きっと、そんな事を思っていたんだろう、って…。
「良い名前じゃねェか。」
…不思議な事に、彼がそう言ってくれた事で自分の名前が好きになれるような気がする。
彼が名前を呼んでくれる度に幸せだと思った。
彼が名前を呼んでくれる度に人間らしさを少しずつ見付けられたような気がした。
…もしかしたら、私の考え過ぎだったの?
私の名前には、ちゃんと愛がこめられていたの?
…ねぇ、“お母さん”…?
名前
(私がお腹の中にいる間、貴女はちゃんと私を守っていてくれたのに)
(命懸けで産んでくれたのに)
(…今更それに気付くなんて…)