シンデレラ誘拐計画
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「…まァ、砕けちまったモンは元には戻らねェな。」
なんとなくだが嬢ちゃんの言いたい事はわかった。
…久しぶりの感情に、心が戸惑ってンだろ。
「でも、その破片集めて、溶かして固めりゃ新しいモンが出来るんじゃねェか?」
『!!』
「フフフ…俺の自惚れじゃなきゃ、溶かすのは成功してると思うぜ。」
『ドンキホーテ、様…』
「…辛かったなァ。」
『!!…っ……ひっ…く…』
ぽんぽんと頭を撫でてやれば、嬢ちゃんの瞳からは涙がボロボロと零れ出す。
シャツが濡れるのも構わずに嬢ちゃんの顔を胸に押し付ければ、怖ず怖ずとシャツが握られた。
『…っ…く…ドンキホーテ、様…』
「なんだ?」
『私、の…わが、まま…失礼を、承知の…上で、お願いが…』
「フフフ…言ってみろよ。」
もしかしたら『この島から連れ去って』なんて俺からしたら願ったり叶ったりなお願いをされるんじゃ、なんて期待していたが…嬢ちゃんの口から出たお願いは面白いくらい控え目な“わがまま”だった。
『…名前…』
「あ?」
『…名前、で…呼んで下さいませんか…わ、たしのような、下賎の民の、名前、を、ドンキホーテ様の、お耳に入れるのは…心苦しい、のですが…』
「……嬢ちゃんの名前は?」
『…っカレン…です…』
「!フフ!フフフ!!」
絶対嬢ちゃんから名乗らせてやる、なんて密かに目標にしていた事が叶った。
人の、女の名前なんてそれこそごまんと聞いてきたが…こんなに特別に聞こえるのは初めてだな。
「…カレン、か…良い名じゃねェか。」
『…ありがとう、ございます…』
「カレン。」
『…はい…』
「カレン。」
『…っはい…』
「フフフ…カレン。」
『…っふ、ぅわぁぁぁん!!!』
しがみついて泣く嬢ちゃん…カレンの頭や背中を撫でてやりながらも、俺の口角は上がっていく。
誰とも勝負なんざしてねェが、「作り笑い」以外の表情を引き出した俺の“勝ち”だ。
出港まで後3日…どうせならまた驚かせてェな。
カレンが落ち着くまで撫でながら、俺は悪戯を考えるガキのようにこいつを連れ去る方法を考えていた。
シンデレラ誘拐計画
(フフフ…本当にガラスの靴でも用意するか?)
あとがき
ドフラさんが甘過ぎて偽者な件\(^O^)/←
いいんだ…だってドフラさんに溺愛されたくて書きはじめた自己満連載だもの…“偽者バッチコイ”って言ってくださる方もたくさんいらっしゃるもの…。