気付きたくない
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カランカラン
23時10分前。
今日もドンキホーテ様は私より先にいらしている。
『こんばんは。』
「あァ。」
最初の頃より私の緊張は取れていた。
…色んな怖い噂が流れているし、それらの大部分は事実だと言う事もわかってはいるが…それでも私の目の前にいる彼はとても優しかった。
どんなに彼が怖い人だと言われていても、私は目の前の“ドンキホーテ・ドフラミンゴ”と言う優しい男性の事を信じたい。
コートを脱いで空いている椅子にかけ、彼のお気に入りのお酒を作りながら何気ない会話をしていく。
『今日も冷えますね。』
「そうだな。」
『ドンキホーテ様は薄着ですが、寒くは無いのですか?』
「あ?あー…まぁほとんど船ん中だからなァ。暖房設備もついてるし。」
『すごいですね、もしかしたら私が勤めている屋敷より立派かもしれません!』
コトン、とドンキホーテ様の前にグラスを置く
スッ…
『…え?』
グラスから手を離す前に、私の手にとても大きな手が重なる。
「小せェ手だな…」
『ド、ドンキホーテ様!?』
「つうか冷てェ。冷えてンじゃねェか。」
そう言うとドンキホーテ様は椅子から腰を上げ、私の両脇に手を差し込んでそのままカウンターから引っ張り出した。
『きゃあ!?』
ついた先はドンキホーテ様の膝の上で…ってえぇぇ!?
『ド、ド、ドド、ドンキホーテ様!!??』
「ん?」
『こ、これは一体全体どういう…!?』
焦る私に対してドンキホーテ様は何でも無いような顔をしてお酒を飲んでいらっしゃって…
「フフフ…くっついてりゃ暖かいだろ?」
『あ、暖かい通り越して熱いです!!』
「フフ!フフフ!!」
『…っからかわれては、困ります!』
「まァそう言うな、別に取って食おうってワケじゃねェんだ。」
至極楽しそうに笑いながらお酒を飲まれるドンキホーテ様。
…心臓が、バクバクと音を立てる。
きっと顔も真っ赤だろう。
違う、これは、男性に手を握られるなんて、男性の膝の上に乗るなんて行為が初めてだから恥ずかしいだけ。
…決して、相手がドンキホーテ様だからじゃ、無い…
駄目だよ駄目駄目駄目駄目。
この気持ちが咲いてしまったら私は…
お願い、これ以上私の心を掻き回さないで。
気持ちに蓋をするのにも限界があるんです。
気付きたくない思い
(…この気持ちに気付いたって辛いだけだもの。)