蕾
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あれから3日。
毎日いつもより遅く寝ているのに、毎朝いつもより気分良く目が覚める。
…私の顔は相変わらず作り笑いを張り付けているけれど、心は晴れ晴れしていた。
…ドンキホーテ様は本当にすごい。こんな短期間で私の気分まで上げてしまうんだから。
彼が島に滞在している間に、私は一度でもちゃんと笑えるのかな…。
作り笑い以外の表情を出せない私にはすごく難しい問題だったりする。
…でも、あんなに良くして下さっているのに、いつまでも作り笑いしか見せられ無いのは申し訳無い。
…私の笑顔なんて彼はどうでも良いのだろうけど、私の気持ち的に。
『…さて、今日も一日頑張るぞ!』
衣装棚代わりにしている空き箱の奥深くに隠してあるドンキホーテ様からいただいた服(見つかったら確実に取り上げられる)からインナーを身につけ、メイド服に身を包み私は部屋を出た。
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…インナーを一枚着るだけでこんなに暖かいなんて!と内心感動しながら毎日平静を装って仕事をこなしていった。
ドンキホーテ様が酒場の主人に口止めして下さったのか、奥様に呼び出される事も無く今日も無事に一日を終え…22時半、淡いピンクのコートを着て窓から外に出る。
今日はどんな話を聞かせて下さるのだろう??
毎晩、ドンキホーテ様は今までの航海の話をして下さる。
静かに話す彼の声はとても心地好くて、話は面白くて…いつまでも聞いていたいなぁなんて思っていたりする。
『…今日が終わったら、後3日かぁ…』
ドンキホーテ様は、今週末にはこの島を出るとおっしゃっていた。
…寂しいけど、仕方の無い事。
『…我慢我慢。』
口に出して自分に言い聞かせる。
一生経験出来ないと思っていた感情を経験出来たんだから良いじゃない。
…だから、こんな事思っちゃ駄目。
“離れたくない”なんて…
この気持ちはきっと、一時的な物。
優しくしてもらったから懐いただけ。
楽しかったから離れたく無いだけ。
…私は、これから先もここで生きて行くんだから。
蕾
(この想いは咲かせちゃいけないよ、シンデレラ。)