キスに想いを込めて
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桜と並んでソファに座っている、ある夜の事。
『…もしもし、ローさんや?そんなに見られると穴が開きそうなんですが。』
隣に座り読書している彼女を見つめていると、恥ずかしそうにそう口を開いた。
「…なぁ、」
『ん?…って、な、なに!?』
ゆっくりと顔を近付け、桜の耳元に唇を寄せる。
「…愛してるぜ。」
『!!!!???』
一瞬にして手まで真っ赤になった桜に小さく笑いつつ、軽くキスをして離れた。
『な、な、な…‼っもう!また急に…』
「言える時に言っとかねぇとな。」
ニヤリ、といつもの様に笑って見せる。
…この、俺らしくもねぇ不安に気付かれないように…。
ガキの頃に、いわゆる“大切な人”を全員失った。
…だからか、いつかこいつまでいなくなっちまうんじゃねぇか…って柄にもなく考えちまった。
「…あ?お前何やってんだ?」
『こ、こう言う事はしっかり目を見て言うべきかと…』
「は?」
急にソファに正座して、真っ赤な顔で俺を見つめる桜。
いつもならその真っ赤な顔をからかうが…今日は彼女の雰囲気がそうさせない。
…深い海の色をした瞳に吸い込まれそうだな、なんて思った。
『…あのね、私はいなくならない、よ?』
「!?」
『ローが嫌だって言うまで側にいる。…絶対に、ローを一人になんてしない。』
「…っ」
……あぁ、どうしてこいつは俺の不安に気付いちまうんだ。
普段鈍感なくせに、照れ屋なくせにこんな時ばかり恥ずかしがらずに俺が欲しい言葉をくれるとか…なんでだよ、本当に。
『ロー?』
「…どうしたんだ、急に。」
『…なんか、ローが辛そうだったから。』
「辛そう?」
『“一人にしないで”って聞こえた気がしたと言うか…』
「!!」
その言葉に、目を見開いて固まる。
そんな弱い部分、見せたつもりなんて無い。
…それなのに、こいつはあっさりと見抜いて。
「……。」
『?ロー…ひゃあ!?』
いつもは桜が苦しくないように加減して抱き締めんのに、今回はそんな余裕もなくて力一杯抱き締めた。
『ロ、ロー?』
「…くな…」
『え?』
「…行くな、どこにも…」
『…うん、行かないよ。ずっとローの側にいるから。』
ゆっくりと背中に回された手に酷く安心して、不覚にも涙が出そうになる。
『…あの、ね。』
「ん?」
『…愛して、ます。世界中の誰よりも。』
「…俺もだ。」
身体を少し離し、ゆっくりと顔を近付ける。
「…ありがとう。」
唇が触れる直前、小さく呟いた。
キスに想いを込めて
(…さっきの言葉だが、)
(?)
(『ローが嫌だって言うまで』って…んな事言うわけねぇだろ、馬鹿。)
(…えへへ、うん‼)
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