勝ち負け
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「前にも言った気がするが、俺はお前しか女に見えねぇ。」
『え…』
「俺をこんなに惑わすのはお前だけだ。」
『惑わ…!?』
俺の言葉にあわてふためく桜が本当に可愛いと思う。
…っつーか、お前はすでに小悪魔だろうが。無自覚なのが本当にタチが悪い。
「さっきのは確かに可愛かったがな、こんな雑誌の真似事なんかしなくてもお前は十分可愛いんだよ。」
『ロ、ローがさせたくせに!!と言うかさっきから、その…か、可愛いって言い過ぎ!!』
『可愛くなんかないやい!』と叫ぶ桜に小さく笑いが零れた。
「…俺は、お前の全てが…いとおしい。」
『へぁ!?』
ぐっ、と抱き締める腕に力を込め、唇を桜の耳元に近付け囁く。
「こんな小細工しなくても、お前は俺の隣でずっと笑ってればそれだけでいいんだよ。」
『~っ!』
「…まぁ、泣き顔も悪くねぇけどな?」
ベロリと耳を舐め上げると、桜は金魚みたいに口をパクパクして俺を見つめた。
…ずっと笑ってればいい、ってのは本音だが別に泣くなと言ってるわけじゃない。
泣くのを我慢して無理矢理笑われても全然嬉しくねぇ。
桜の心からの笑顔、が俺は好きなんだからな。
『…も、ローずるい…私いつもローに負けてる気がする…』
そう言いながらチラリと涙目で見上げてくる桜に視界がぐらりと揺れる。
…本当、無自覚程タチが悪ぃもんはねぇな…。
「ったく…お前は負けてばっかりと言うが、俺はお前に勝てた試しがないぞ?」
『え?』
「こうやって俺の為に悩む所も、涙目で見上げてくる所も、普段素直じゃないくせにここぞと言う所で素直になる所も…そういう所に俺はいつも負けてる。」
言いながら、桜を横抱きしてベッドへと運ぶ。
『ロー!?ちょ、ななな、なに!?』
「言ったろ?お前にいつも負けてるって。」
ぐっ、と顔を唇がくっつきそうな距離まで近付け呟いた。
「…お前の可愛さに負けて、俺の理性は崩れ去ったんだ。責任取れよ。」
桜が文句を言う前に、キスで唇を塞ぐ。
「好き…じゃねぇな。」
『…え…』
「…愛してるんだ。」
そう呟き、再び桜の唇を塞いだ。
ゆっくりと背に回される細い腕に、いとも簡単に欲に溺れる自身に小さく苦笑いを浮かべる。
…あぁ、俺はやっぱりお前には敵わねぇな。
勝ち負け
(覚悟しとけ、この負けは数倍にして返してやるよ。)