好きって気持ちが
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「…おい。」
『……。』
「おい、桜。」
『………。』
俺に抱き着いたまま離れない桜に小さく溜め息をついた。
別に抱き着かれる事自体は嫌じゃねぇ。むしろ照れ屋なこいつから抱き着いてきてくれるなんて願ってもない出来事だ。
…が、今日みたいに何も言わずに抱き着いてくる場合はなにかあった時だと決まっている。
「…どうした?」
少し強めに抱きしめ、頭を撫でてやると微かにだが声が聞こえてきた。
『……た……け。』
「ん?」
『…ちょっと、甘えたくなっただけ。』
ぎゅっ、と回す腕に力を込めてきた桜…こいつが“甘えたい”なんて言うの、珍しいな…。
「…はぁ。」
『?…わ!』
桜を抱きしめたままベッドに横になる。
『ロ、ロー?』
「…甘えてぇんだろ?たまにはのんびり昼寝でもしようぜ。」
ポンポンと子どもをあやすかのように背中を撫でてやれば、小さく溜め息をついた桜がぽつぽつと話し出した。
『……新聞に、ローの事悪く書かれてるの見たの。』
「あ?あぁ…そういや何か書いてあったな。」
『……それが、嫌だったの…。』
むぅ、と頬を膨らませる桜に思わず小さく笑う。
…なんで悪く書かれた当人よりお前がヘコんで拗ねてんだよ。
「ったく…俺は海賊なんだからそんなん当たり前だろ。」
『でも、』
「…他の奴なんか関係ねぇ。」
『え…!?』
先程まで膨らませられていた桜の頬にわざと音を立ててキスをする。
その途端真っ赤になって慌て出す桜に構う事なく、その華奢な身体を再び少し強めに抱きしめた。
『ロ、ロー?』
「…世間でどう言われようと、お前が側にいてくれりゃそんなんどうでも良いんだよ。」
『!!』
「つまんねぇ事を気にするより、俺はお前に笑ってて欲しいんだが?」
そう言いながら桜に覆いかぶさるようにして、今度は唇にキスを落とす。
…すると珍しく桜が俺の首に腕を回してきた。
「…っくく…珍しく積極的じゃねぇか。」
『う、うう、うるさいっ!ツッコまないで恥ずかしいから!!』
グイッと俺の首を引き寄せ、その至近距離でもぎりぎり聞こえるくらいの声量で呟いた桜の言葉に理性が音を立てて崩れ去る。
…昼寝はまた後でだな。
好きって気持ちが溢れちゃったんだもん
（予定変更だ。）
（え?）
（運動、してから昼寝しようぜ?）
（!?な、なななんでそうなるの!?）
（うるせぇ。…可愛いお前が悪い。）
