甘えさせろ
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「…桜。」
『ん?…わ!』
船長室でソファに座って読書していたら、急にローに引き寄せられた。
たどり着いた先は、ソファに座るローの足の間で…そのまま後ろから抱きしめられる。
『…ロー、どうかしたの?』
「別に?」
『…あの、この体勢恥ずかしいんだけど…』
「っくく…本当すぐ照れるな、お前。」
笑いながらローはぎゅっと私を抱きしめる腕に力を込めた。
それにより私の顔は更に赤く染まり、ローはまた小さく笑って…むぅ。また私ばかり焦らされてる。
『…もしかして甘えたくなったとか?』
少しでもローの余裕を崩したくて、からかうように言ってみるけど、返ってきた返事は予想外の物で…。
「あぁ、そうかもな。」
『……へ?』
「…って言えばお前は甘えさせてくれんのか?」
『み、みみ、耳元で囁かないでって何度言えば…ひゃあ!?』
ベロリと耳を舐めあげられ、思わず高い声が出てしまった。
「っくくく…相変わらず耳弱ぇな。」
『～っそういう意地悪する人は離れて下さい!!』
「イヤだ。」
もがけばもがく程、ローの腕の力は強くなる。
『もう、ロー!』
「…絶対離さねぇよ。」
『え?』
「何よりも愛しいお前を離すワケねぇだろ?」
『!』
「…愛してる。」
耳元で囁かれる甘過ぎる言葉に、私の顔は湯気が出そうなくらい真っ赤になった。
そんな私に構わず、ローは頬や髪にキスを落としていく。
『ロ、ロー!?』
「…うるせぇ。」
珍し過ぎるローに少々驚きながらも私は諦めて身体の力を抜いた。
…ローが甘えてくれるなんて滅多に無いからすごく嬉しい。
『…毎日ご苦労様。』
「………あぁ。」
優しく頭を撫でてみれば本当に珍しくローはそのままで。
少しでも彼を癒せますように、と願いつつ私はそっと瞳を閉じた。
甘えさせろ
（なぁ、俺が好きだって言えよ。）
（…す…好き、です。）
（…もう一回。）
