月見酒
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『ロー!!お月見しよ!!』
部屋に入ってくるなりそう叫んだ桜の勢いに驚き、思わず一拍返事が遅れる。
「…月見?」
『そう、甲板で!今夜は満月なんだよ!さっきチラッとみたらすごい綺麗だったの!』
別に満月なんて船に乗ってりゃいつでも見れる。
…が、こいつが喜ぶなら付き合ってやっても良いか…。
「酌しろよ。」
『!うん!!』
嬉しそうに笑った後、桜は俺の腕を引っ張って甲板へと連れ出した。
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『綺麗だね!』
「…悪くねぇな。」
俺に酒を注ぎながら言った桜の言葉に共感する。
今まで月なんか大して興味は無かったが…隣にこいつがいるだけで、特別に思う自分に内心笑った。
…本当、俺はどんだけこいつに惚れてんだか。
『月にうさぎっているのかなぁ?』
「あ?」
『よく言うじゃん、月にうさぎがいてお餅ついてるって。』
「…そんなん信じてるの、ガキくらいのもんだろ。」
『ゔ…い、いいの!私は童心を忘れてないだけだもんっ!』
「…っくく…」
『わ、笑うなっ!!』
『もう!』と拗ねた桜が手を伸ばしたのは自分が飲んでたジュース…じゃなく、俺の酒で。
「っ馬鹿!」
ゴクン
『…え?』
俺が取り上げるより早く酒を飲んだ桜に隠そうともせず溜め息をついた。
…最近気付いたのだが、どうやら桜のいた世界に比べてこちらの酒は強いらしい。
つまり、だ。
対して酒に強くない桜にとっては一口でもかなり酔いが回るって事だ。
『…あれ、なんか身体熱い…』
「馬鹿桜、今お前が飲んだのは俺の酒だ。」
『うわ、そうだったんだ…どうりでさっきと味が違うと思った。』
そう言って苦笑いする桜に再び溜め息をつく。
どんだけうっかり屋なんだこいつ。
可愛いとか通り越して呆れてきた。
『んー…熱いけど、一口しか飲んでなかったから大丈夫だよ!』
「…こっちが大丈夫じゃねぇんだよ。」
『へ?』
多少なりとも酔っている桜の頬は赤く染まり、瞳は潤んでいる。
…恋人にこんな表情されて何とも思わない奴がいたら見てみたい。