悪くない
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船内を歩いていたら、桜に声をかけられた。
『ペンギン、おはよう。』
「……あぁ桜、甲板に行くのか?」
『うん…って!!』
俺の顔を見るなり、彼女は俺の腕を掴んで少し強引に歩きだす。
「お、おい桜!?」
名前を呼んでも立ち止まる気配は無く…着いた場所は医務室。そしてそのままの勢いでベッドへと寝かされた。
『ペンギン、疲れてる!』
「は、はぁ?」
突然の事に全くワケがわからずにいると、腰に手を当てた桜が『だって!』と口を開いた。
『いつもならすぐ気付いてくれるのに今日は私が声かけるまで気付かなかったし、第一顔色悪いよ!!』
そう指摘され、正直驚く。
…確かに今日はいつもに比べて疲れている…が、自分ではいつも通り過ごしていたつもりだし、他のクルーにも気付かれていない。
それなのに桜は本当に些細な異変で見破り…すごいな、よく見てる、と変に感動すら覚えた。
…が、しかし。
疲れているからと言って休むワケにはいかない。仕事もやらなきゃいけない事もたくさんある。
『ペンギンは今日一日ゆっくりして!』
「そういうわけには、」
『ついでに声も少しおかしい!』
…全く言い返す隙を与えてくれない桜に小さく溜め息をついた。
「…なにやってんだお前ら。」
怪訝な表情で入り口に立っていたのは船長で…多分何かしら薬を取りに来たんだと思う。
『あ、ロー。今日はペンギン、一日お休みだから。』
「あ?」
『ペンギンはお疲れなの!労ってあげて!』
「…おいペンギン、ちょっと見せろ。」
そう言った船長はゆっくりと俺に近付き、目の下や喉を確認し始めた。
この人、死の“外科医”と呼ばれているけど…実際は医療に関してはオールマイティだよな、本当に。
「…目はそんなんでも無いが…喉が少し赤いな。」
『ほらやっぱり!』
「はぁ…だから、それくらいで休むワケには…」
いかない、と続けようとしたその時。
一人のクルーが医務室に来て、さして慌てもせずに口を開いた。
「敵襲です。」
「…またか、最近多いな。」
「敵作り過ぎなんですよ。」
「うるせぇ。…相手はどの程度だ?」
「小物なんで、船長が出るまでも無いかと。」
『あの!』
すると、それまで静かに俺達の会話を聞いていた桜がクルーに話し掛けた。
『今日はペンギン、戦闘お休みで!』
「えぇ!?」
「桜、お前まだそんな事…」
『ダメったらダメ!!無理して体調悪化したらどうするの!?』
「で、でも桜…ペンギンがいてくれないと戦闘キツいんだけど…かなりの戦力だし…。」
「ほら桜、こいつもこう言ってるし…ハートの船が壊されでもしたら大変だろ?」
まるで小さい子どもに言い聞かせるかのように桜の説得にかかる。
…すると、ブチッと何かが切れる音がしたような気がした。