心配しないで
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『んー良い天気!』
甲板で思いっきり伸びをする。深呼吸をすると爽やかな空気が身体中に染み渡っていく感じがした。
「桜、船長は?」
『あ、ペンギン!ローなら朝ご飯食べた後また寝ちゃったよ。夜寝れなくなるよって言ってるのに…。』
「はは、そうか。」
『何か用事?』
「いや…次の島についてちょっと相談があっただけだ。別に今すぐじゃなくて良い……!!!」
『…ペンギン??』
突如ペンギンの表情が険しくなる。
その瞬間、見張りのクルーの声が船に響いた。
「敵船発見!!!!」
『え!?』
「っくそ、いつの間にあんな近くに…!!」
珍しく余裕の無いペンギンに、冷たい汗が背中を流れる。
海を見れば、確かにいつの間にか敵の船はすぐそこまで来ていて…。
「桜、今すぐ船長を…!?」
ドーン!!ドーン!!…
大きな音と共に、黒くて丸い物…大砲の球がいくつもこちらへと向かって飛んできた。
ハートの狙撃主が迎撃の用意をするが、宣戦布告も無しに撃たれた為間に合わない……このままじゃ船に当たる…!!
『ふ、“吹き返せ”!!!』
「桜!?」
咄嗟に腕を前に伸ばし、船に当たりそうな球のみ吹き返す。
しかし敵は次から次へと撃ってきて、一つ一つ吹き返していたら間に合わない。
片手を大きく振って風が吹く範囲を広げる。…やった事無いけど、そんな事言ってられない…やらなくちゃ!
『全部“吹き返せ”!!』
私の言葉と同時に広範囲で強い風が吹き、飛んで来ていた球がその速度を殺され全て海へと落ちていく。
…良かった…。
しかし安心している暇は無い。
敵の船は速度を上げてこちらへと向かってきているし、大砲の球も絶えず撃たれている。
『“吹き返せ”!!』
再び球を吹き返した後、船へ腕を向けて叫ぶ。
『“向かい風”!!』
向かい風を吹かせた事により、敵船は速度が落ちる。
…とにかく、ローが来るまで時間を稼が…な…きゃ……
『………あ……れ………?』
相手がこれ以上こちらに近付け無いように風を吹かせ続けていたら、突然身体から力が抜けた。視界が真っ暗になり、立っていられない。
「っ桜!!!」
…意識を失う瞬間、ローの声が聞こえた。
心配しないで、って言いたいのに
(…返事、しなきゃ…大丈夫だよ、って…)
(…でも…意識が…薄…れ…)