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「…。」
『あ、ロー。ただいまー。』
「…こんな晴れてんのに、お前の所だけ雨でも降ったか?」
『あはは…ちょっと負けられない戦いがありまして。』
「馬鹿だな。」
『…返す言葉もございません。』
びしょ濡れで船内に入ったら、廊下でローにあった。
私の姿を見るなり盛大に溜め息をついた彼に、苦笑いを返しながらその横を通り過ぎ、部屋へと向かう。
…ローにバレないように、引きずらないように歩く度に足首に痛みが走る。
でも、余計な心配はかけたくないし…きっとローの事だから手当もしてくれるだろう。そんな迷惑かけられない。
自分でどうにかしなきゃ。
…着替えたら湿布貼っとこうかな。(流石にこの足で滑りやすいお風呂は危険だ。)
でも湿布だと匂いでバレそうだし…テーピングなんて出来ないし…あ、そうだ。ローの医学書借りて読んだらどっかにテーピングのやり方くらい書いてあるよね。
…ふわり…
『………え?』
「…ったく、お前は…」
色々考えていたら、突如身体に訪れた浮遊感。
ローにお姫様抱っこされたのだと気付いたのは、いつもより近くにある彼の顔を見てからだった。
『えぇ!?ちょ、ちょっとロー!?』
「うるせぇ。…そんな足で歩きやがって。」
『!?き、気付いてたの?』
「当たり前だろ、俺を誰だと思ってる。」
はぁぁ、と深く溜め息をついた後、ローは私を抱えたまま歩き出した。
『わ、私びしょびしょだからローまで濡れちゃうよ!』
「…構いやしねぇ。」
『私が構う!!』
「いいから黙ってろ…あんま騒ぐようならここでその口塞ぐぞ。」
『っごごご、ごめんなさいすみません黙りますから止めて下さいぃぃぃ!!!』
ゆっくりと近付いてくるローの顔を押し返しながら慌てて謝れば、ローは「わかればいい」と何も無かったかのように顔を離す。
反対に私の心臓はバクバクしていて…うう、やっぱりいつも私ばかり焦ってる気がする。(…でも照れ屋ですぐテンパるローは見たく無いような気もする)
…なんて考え事をしていたら船長室に着き、ローが器用に私を抱えたまま扉を開けた。
「とりあえず着替えだな。」
『う、うん…』
「…着替え終わるまで外にいる。終わるか何かあったら声かけろ。」
そう言ってびっくりするくらい優しくイスに降ろされた上に気遣って部屋の外に出たローに正直ちょっと戸惑った…だって、絶対説教されるって思ってたし。私が着替えるからって外に出てくれるなんて思わなかったし。(ちなみに朝はローが寝ている間にパパッと着替えている。)
右足首に負担をかけないようにしつつもローを待たせないように早く着替え、私は『もういいよ。』と扉の向こうへ声をかけた。
その直後、ローが静かに部屋に入ってきて…ずっと待っていてくれたんだと思うとなんだか嬉しくなり、ニヤニヤしてしまう。
「ほら、足貸せ」
『うん。…ごめんね、迷惑かけて…』
「そう思うなら怪我した時に隠すような真似すんな。」
『だ、だって…皆はお仕事いっぱいあるし、ローは船長さんだし…私の事なんて気にしてる時間があるなら、自分達の事に時間を使って欲しくて…』
「だから、お前は考え過ぎだ。」
『ゔ…っい!?』
「あぁ、やっぱこうすると痛いか。」
サラッと言うローだけど、私はあまりの痛みに声が出ない。
…こ、この人、今、絶対わざと強めに私の捻った足思いっきり握った…!!