暴走勘違い
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ログポースが示した町は、治安が悪くて有名な町だった。
…あいつにとっては初めての町だし、少しくらい町で遊ばせてやろうと思ったが…あの町じゃ無理だな。
その旨を伝えれば、なんとか納得はしたものの…予想通り不満たらたらの桜。
…まさか、こっそり出て来やしねぇだろうな…?
一抹の不安を抱きつつ、町へと降りた。今回の俺の目的はこの町の情報収集だ。
この町はいまだ謎な部分が多い。情報を手に入れて、それを売ればそこそこ良い金になる。
…航海するのにも金がいるからな…。
「ねぇ、そこのおにーさん。今晩どうだい?」
ペンギンを引き連れて聞き込みをしていたら、一人の娼婦が声をかけてきた。
「……。」
「…このあたしをシカトするなんて、中々良い度胸じゃないか。」
「…生憎、オヒメサマが待ってるんでな。さっさと帰りてぇんだ。」
「(来るもの拒まずだった船長が拒んだ!?)」
「あたしの誘いを断るくらいだ、よっぽど良い女なんだろうね?」
「…行くぞ、ペンギン。」
「は、はい!」
女の問い掛けに答える事無く、足を進めようとする。
…だいたい情報は集まった、これだけの量を上手く売れば当面金には困らないだろう。
「ちょっと待ちなよ。」
しつこく引き止めてくる女に隠そうともせず舌打ちをする。
しかしそんな俺の様子を気にする事もなく、女が首に腕を回して絡み付いてきた。
「あんた達、この町の情報集めてるんだろ?」
「…てめぇには関係無い。」
「つれないねぇ…ま、そこが素敵なんだけど。」
クスクスと妖艶に笑うこいつを見て、今すぐバラしてやろうかと刀の鍔に親指をかける。
「…あたし、この町の凄い情報を持ってるの。」
「あ?」
「人身売買のボス。知りたくない?」
「!」
それは、いくら俺達が探りを入れても手に入らなかった情報だった。
「あたし、ボスに気に入られてるの。何回か相手もしたわ……おにーさんが今夜、あたしの相手をしてくれるなら教えてあげる。」
「…それが本当だと言う証拠がどこにある。」
「あらやだ。あたしこう見えて正直者なのよ?…“死の外科医 トラファルガー・ロー”が手配書より全然格好良かったから、是非お相手してもらいたくて。」
…こういう話は(経験上)7割方嘘だ。
しかし万が一本当だとしたら?
相手なんてする気はさらさら無いが…どうするか。
「…おい、兄ちゃん大丈夫か?」
「どうした?」
「気分が悪ぃのか?おい、誰かー…」
悩んでいたら少し離れた場所でざわつく声がした。声の内容からして、誰か体調でも崩したか?
なんとなくそちらに目をやると…
「!」
『…!!』
…胸を押さえ、涙を流す桜と目が合った。
そしてその瞬間、俺が引き止めるより早くあいつは走り出す。
…っくそ、やっぱり出てきやがったか…!!
「なぁに、あの男の子。」
「…離せ。」
「は…!?」
首に回された女の腕を無理矢理外しながら舌打ちをする。
…あいつ、絶対変な勘違いしてやが……いや、すぐに振り払わなかった俺も悪いのか。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!情報はいらないの!?」
「てめぇなんかの相手をしなきゃ手に入らない情報ならいらねぇよ。」
「なんですって…!?」
「あぁくそっ、急ぐぞペンギン!!あの馬鹿路地裏の方行きやがった!!」
「…了解。」
いまだしつこく腕に絡み付く女を振りほどき、俺達は桜の後を追った。