心の準備
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無人島を出発してしばらくが経った。
ログポースって言う物に次の行き先を指定されるらしく、一回海に出ると今回みたいに次の島まで長期間かかる事もあるらしい。
こちらの世界の事を勉強する為にローに借りた本を甲板で読みながら、ふと頭に浮かぶのはローの事…
…と言うより、彼に言われた“心の準備”の事。
あの日、思いが通じ合った日に言われたように、彼は私に手を出さない。
…キ、キスは、するけど…。
きちんと待っていてくれるんだと嬉しくなる反面、不安になる。
彼の優しさ甘えてズルズルと先延ばしにして…嫌われないかな、とか。
ローに触れられるのは嫌じゃない。むしろ好きだ。
抱きしめられると安心するし、幸せな気持ちになる。
…でも……先に進むのは“怖い”のだ。
そういう経験が無い私には未知の世界でしかないし…初めては痛いって聞くし…(鼻からスイカだっけ?…いやこれは出産時か。)
……それに、ローは絶対経験豊富だ。(前に「“特定の”女はいなかった」って言ってたし。)
向こうの世界にいた時、ローはいわゆる“大人な女性”にモテていた。それはこちらでも同じだろう。
『…比べられたら嫌だな…。』
ポツリと呟いた言葉がズドーンと心にのしかかって来る。
当たり前だけれど経験の無い私は確実に…その…“そういう事”が下手、だと思う。
ローが今まで…抱いた女の人達の方が、きっと……
『…過去に嫉妬してどうするんだか。』
ははは、と自嘲めいた笑みを浮かべる。
自分と同じように彼も初めてが良い!なんて子どもみたいな事は流石に言わない。
…けど、心の中はよくわからないモヤモヤがあって…。
『…ダメだな、私。』
パタン、と読みかけの本を閉じてその場に寝転ぶ。
目の前に広がるのは、吸い込まれそうなくらいに綺麗な一面の青空…なんとなく吸い込まれたくて手を伸ばしてみた。
「…何やってんだ。」
声がした方に視線をやれば、怪訝な表情をしたローと目が合う。
『…あまりにも綺麗な空だったから?』
「俺に聞くな。」
『吸い込まれそうだなーって思って。』
「…。」
私がそう答えると、ローは私の伸ばしていた腕を掴んで無理矢理身体を起こさせた。
…そしてそのまま抱き寄せられる。
『ロ、ロー?』
「あ?」
『ど、どうしたの?』
「…空に吸い込まれなんかしたら堪んねぇからな。」
言葉と共にギュッと強まったローの腕の強さにやっぱり私は安心していた。
抱きしめられるのはまだ恥ずかしいし、慣れないけど…嬉しいのも本当で。
ローに触れられる度に『好き』と言う気持ちが溢れそうになる。
…………ローとなら………ううん、ローじゃなきゃ嫌。
瞳を閉じて強く思った事。
…まだ怖いのも本当だけど…とりあえず、今思っている不安とか全部近い内にローに話そう。
そして、彼がこんな面倒な私を受け止めてくれたら…その時は、ちゃんと覚悟を決めよう。
…そう密かに決めて、私はローの服を掴んだ。
“心の準備”
(…ロ、ロー、そろそろ離して?は、恥ずかしくなってきた…!!)
(……いい加減少しは慣れろ。)
((…こんなんで私、きちんと話せるのか不安です…))