勘弁してくれ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
自室で本を読んでいたら、風呂上がりらしい桜が部屋に駆け込んできた。
「…どうした?」
何やら泣きそうな顔をしていたので理由を尋ねると、桜が恐る恐る俺の手を握ってきた。
「?」
『…ロー、大丈夫?』
「あ?何がだ?」
『私が触れても、力抜けてない?』
「……は?」
話を聞いた所、どうやらこいつはペンギンに騙されたらしい。
…いや、騙されたと言うよりからかわれた、が近いか。
「はぁ……ったく、お前は…」
『…っ』
瞳に涙を溜めて俺を見上げる桜の身体を自分の方へと引き寄せる。
「長時間いたからって、人間の身体に海水成分浸透するワケねぇだろ。」
『ふぇ?』
「風呂で洗い流せば問題ねぇ。…お前はペンギンにからかわれたんだよ。」
『え…えぇ!?』
「………お前、本当に気付いてなかったのか。」
『し、仕方ないじゃん!ローに触れなくなるかも、って思ったら…頭の中真っ白になって…』
そう呟いた桜に内心頭を抱える。
…この発言が天然だから本当にタチが悪い。
よく見たら相当慌ててきたのか、髪はまだ濡れている。
恥ずかしいのか風呂上がりだからなのかはわからないが、頬は上気していて…
…いっその事、今すぐ押し倒してやろうか。
『…ロー?』
桜の後頭部に手を回すと、真っ直ぐな瞳で俺を見つめてきた。
…その瞳があまりにも純粋過ぎて、思わず押し倒そうとしていた身体が止まる。
「………。」
『ロー?どうしたの?』
…心の準備が出来るまで待つ、って言ったしな……
「…………髪、濡れてる。」
『え?わぷ!』
…勝手に動きそうな身体を僅かに残る理性でなんとか止め、桜からタオルを奪うように取って濡れた髪を拭いてやる。
『ちょ、ロー、痛い…』
「あ?拭いてやるだけありがたいと思いやがれ。」
『痛いの、やだ!もっと優しくして?』
「………………………お前、それわざとか?」
『へ?』
情事を思わせるような発言に深く溜め息をつく…本当、よく耐えてると自分を褒めてやりたいくらいだ。
『…ロー?』
「うるせぇ。」
…口ではそう言いつつ、先程よりも力を弱めて頭を拭いてやる俺はやっぱりこいつに相当甘いらしい。
柄にも無く「勘弁してくれ」なんて思った。
(ふふ、気持ち良いー)
(……………………はぁ………。)