抱く腕
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いつものようにクルーの輪から少し離れた所で一人酒を飲みつつ、先程の桜の態度について考える。
…本当にあいつは嘘が下手でわかりやすい。
あんな泣きそうな声と顔で“あれは友達として好きって事だ”と言われた所で、誰が見ても嘘だと思うだろう。
素直に好きだって言えば良いのに…あいつ、また勝手に色々考えてやがるな…。
…ま、元からそんなにあっさりいくとは思っては無いが。
チラリと桜の方を見ればベポとシャチに絡まれていた。
…あ?シャチの奴、何あいつのコップ奪って飲んでんだ?
面白く無い気持ちを抱きながらそのまま様子を見ていたら、シャチが今度は自分の持っていた酒のビンを桜の口へと突っ込んで無理矢理飲ませだした。
「…チッ、あの馬鹿…!!」
あのビンのラベルは度数の高めの酒の物だったと思う。
…あんなもん、飲酒経験の少ない桜に一気に飲ませたらアルコール中毒になりかねない。
柄にも無く少し焦りながらあいつの元へと向かう。
…その瞬間、立ち上がろうとした桜の身体がグラリと傾いた。
それを受け止め、溜め息をつく。
…一人で歩けなくなってんじゃねぇか…。
俺を見るなりシャチの顔が青ざめる。まぁそうだろうな。
「ベポ、俺はこいつ寝かせてくる。適当な所で切り上げろってペンギンに伝えとけ。」
「アイアーイ!」
「…“ROOM”」
「え…せ、せんちょ…待っ…わぁぁぁぁ!!」
「うるせぇ。バラすくらいで済むだけマシだと思いやがれ。」
バラした事で「そんなぁぁぁ」と情けない声を出すシャチの、転がっていた左手を踏み付ける。
…もっと罰を与えたい所だが、今は桜の介抱が先だ。
口を押さえながらぐったりと寄り掛かってくる桜の身体を横抱きし、とりあえず水を飲ませようと俺は食堂へと足を進めた。
彼女を抱く腕に無意識に込められた力
(……相変わらず軽いな、ちゃんと食ってんのか?)