気まぐれ
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「俺はいつ戻れる?」
【あー…すみません。あの船長「トラファルガー・ローを戻したかったら俺に負けを認めさせるんだな!」とかほざいて、それ聞いたシャチがブチ切れちゃって…あいつの怪我が治るまで難しそうです。】
「……はぁ……全治どんくらいだ。」
【一ヶ月くらいですかね。】
「………。」
電伝虫で船員さんと話していたローさんは、全治一ヶ月と言う言葉を聞いた瞬間眉間にシワを寄せた。
【海の上に飛ばされてなくて良かったです!まぁまさか異世界とは思いませんでしたけど。一ヶ月大丈夫そうですか?】
「あぁ。」
『なに家主の許可もとらずに返事してるんですか。』
サラッと返事したローさんにそうツッコめば、当たり前だと言わんばかりの表情で睨まれる。
「お前に拒否権は無い。」
『なんなら今すぐ出て行ってもらいますよ?』
正直睨まれてちょっと怖かったけど、ここは私の家だし!『お願いしますって言えたら良いですよ』と返せばローさんは明らかに嫌そうな顔をして溜め息をついた。
「………チッ……頼む。」
『…舌打ちが余計でしたけど、良いです。まぁ追い出す気なんて最初からありませんでしたけど。』
「てめ…!!」
【…船長が押されてる…!?】
よっぽど意外だったのか、電伝虫の向こうから驚いた声が聞こえた。
『あ、えーっと…今そちらの船長さんを保護している嶋村桜と言う者ですが、帰れるまでの衣食住はきちんと面倒見ますのでご安心下さい。』
【え?は、はい、よろしくお願いします…。…船長、女の人の家に転がり込んだんですか?】
「あ?こいつが最初に声かけてきたんだ。」
『誤解を招く発言止めて下さい。大丈夫ですか、って声かけただけじゃないですか。一言も“家に来て下さい”なんて言って無いですよ。』
【……ウチの船長がすみません。】
私の一言で全てを悟ってくれたらしい船員さんが謝ってくれた。
やっぱり船長が暴君だと船員はまともになるのかしら。
『いいえ、お気になさらず!』
「だ、そうだ。」
『貴方は少しくらい気にしてください。』
「…嫌だ。」
『……明日の朝ごはん、パンにしようかなー。』
「……てめぇ、バラすぞ。」
『バラしたら明日買い物も図書館も行けませんよ?』
「……チッ…」
拗ねたようにそっぽを向いたローさんに、ものすごく勝利を収めた気分になった。やった!!
【…すごい…】
『え?』
【貴女…えぇっと、桜さんでしたっけ?船長に勝てる人初めて見ましたよ。】
「…おいペンギン、俺は負けてねぇ。」
【貴女みたいな人が一緒に来てくれたら楽になるんですけど、どうですか?】
ローさんの言葉を完全にスルーして船員さんが言った言葉に、私は苦笑いしか出来なかった。異世界への誘いって。
「…ペンギン、お前そんなにバラされたいか…。」
【!じゃ、じゃあ船長!また連絡しますね!!】
ローさんの不穏な空気を感じ取ったのか、そう言って船員さんは慌てたように電伝虫での通信を切った。
「チッ」
『ほら、怒らない怒らない。』
「元はと言えばてめぇが…」
『ア、モウコンナ時間ダ!』
「…下手くそな話の逸らし方だな。」
『う、うるさいですよ!!明日はたくさん歩くんですから、寝ましょう!!』
ローさんはここで寝てくださいね、とリビングのソファを指差したら眉間にシワを寄せた彼に睨まれた。
『…一応聞きますが、何か?』
「…俺がベッドで寝る。」
『居候なのにベッド占領する気満々て何様ですか。』
「うるせぇ、バラすぞ。」
『バラすって言う事がどんな行為なのかはわかりませんが、バラした時点で出ていってもらいますから。』
「…チッ。」
隠そうともせずに舌打ちをした彼を見て、気付いた。
『…やっぱりローさんベッド使って良いですよ。』
「は?」
『よく考えたら、ローさんの身長じゃソファには収まりませんから。』
そう。一人暮らしの私の家にあるソファはそんなに大きくない。ローさんが寝たら確実に可哀相な事になる。
家主がソファっておかしい気もするけど…まぁ、一ヶ月だし。
『それじゃおやすみなさい。』
「…おう。」
就寝の挨拶をして私達はそれぞれの寝床へと入った。