脳内キャパオーバー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ローさんはパンが嫌いらしいので、今日のメニューは和食です。
何も言わなかったけど、全部食べてくれたから多分口に合ったんだと思う。
食器洗いをしていると、ローさんは部屋にある本を適当にパラパラと見ていた。
「…。」
『本、好きなんですか?』
洗い物を終えて彼の近くへ行くと、小さく「まぁな」と返ってきた。
…名前的に外国人っぽいのに、言葉は通じるし言語も問題無いとかはあれか。ツッコんだら負けか。
「…お前、超能力者か何かなのか?」
『え?』
「そういう類の本が多い。」
『そ、それは…えっと…』
ローさんの言葉に、明らかに動揺してしまう。
「…おい、」
『…ただ、少し興味があるだけですよ。それよりも、何か良い本はありましたか?』
無理矢理話題をそらすようにそう尋ねれば、ローさんは小さく溜め息をついてその事には触れずにいてくれた。
「…他に本は?」
『無いですよ。』
「……。」
『…なんですかその目は。』
「さぞかし残念な頭なんだろうな、と。」
『失礼過ぎます。』
「…チッ、どうせなら異世界の医学書でも読もうと思ったんだが…。」
『あ、それなら図書館に行けば良いですよ。』
「連れていけ。」
『今日はもう遅いから無理です。明日連れて行ってあげますから。ローさんの物も色々買いに行かなきゃいけないですし。』
言いながらバスタオルを彼に渡す。
『先にお風呂どうぞ。着替えはコレ使ってください…多少小さいと思いますけど、着れない事は無いかと。』
そう言って家にあった男物の服を渡せば、彼は怪訝そうな顔をしてこちらを見た。
『あぁ、別に恋人の物とかでは無いですよ。』
「こんなデカイのがか?」
『……それくらいの方が変装するには丁度良いんです。』
「変装??」
『!な、なんでも無いです!!あ、さすがに下着は無いので今履いてるので我慢してくださいね!!それじゃごゆっくり!!』
つい出てしまった言葉にハッとしつつ、彼を無理矢理脱衣所へと押し込む。
『(…会ったばかりの人に何言ってるんだろ…)』
しばらくするとシャワーの音が聞こえてきたので、安堵の溜め息をつきつつ私は予備の布団の準備をする事にした。
--------
『…なんですかコレ?』
「電伝虫だ。」
『でんでんむし?』
ローさんの後に入ったお風呂から出てみると、彼はかたつむりみたいな物とにらめっこしていた。
簡単に説明してくれた内容によれば、今で言う携帯電話みたいな物らしい。何に驚いたって、これをポケットに入れてたって言う事だよね。例え携帯的な物であってもかたつむりはポケットに入れたくないぞ、私は。
『異世界で使えるんですか?』
「どうだかな…次元が上手い具合に捩曲がってりゃ使えるかもな。」
そう言いながらローさんはかたつ……電伝虫に向かって「誰か聞こえるか?」と話し出した。
…その瞬間。
【っ船長ぉぉぉぉ!!!!!!!】
複数の叫び声が聞こえてきて、電伝虫の顔は今にも泣きそうな顔をしていて、ローさんが目を見開いて驚いていて…
そんな彼に対して私は『使えたんだ、よかったー』とホッとしていました。
…うん、やっぱりこの数時間で私結構逞しくなってる。
脳内のキャパオーバーすると逆に冷静になるタイプみたいです。
(【船長ぉぉぉぉ!!無事だっだんずねー!!!】)
(…お前ら少し落ち着け。)