海賊ヒーロー
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「…おい、お前何している!?」
『え…?』
私の瞳から涙が一粒伝い落ちる頃、急に男が焦ったように私の胸倉を掴んできた。
「何をしたんだと聞いている!!」
『な、にが…』
「あの光だ!!!」
男が指差す方に視線を向けると、そこには今まで無かった綺麗な光の輪があった。
「あれは何だ!!」
『わ、たし、知らな…』
「嘘をつけ!!」
『!!!』
男が腕を振り上げ、殴られると理解した私は咄嗟に瞳を閉じる。
しかし、いつまで待っても痛みは襲って来ない。
「お、お前、は…」
「…今回はいい所に飛ばされたな。」
何故か怯えたような男の声と、聞こえるはずのない声が聞こえてゆっくりと瞳を開ける。
『…嘘…』
嘘。嘘だ。
私はきっと今夢を見ている。
だってこんな事有り得るはずがない。
さっきこの男が言ってたじゃない、助けに来るのは不可能だって。
…だから、
「…っくく…」
…今、私の目の前に、
「随分と間抜け面だな、桜?」
…ローが立っているなんて…
『…ロー…本物…?』
「偽物に見えるか?」
そういってニヤリと笑う彼は紛れも無くローで…
「お、おい!!お前どこから入って…!!」
「てめぇに説明しても理解出来ねぇよ。」
「な…ってててて!!!」
ローは掴んでいた男の振り上げた腕を捻り上げ、その腕を離したと同時に蹴り飛ばした。
「ッグハ!!」
「…立てるか?」
私を縛っていた縄を切ったローは、背に腕を回して立たせてくれる。
…その声に、温もりに…これが現実なんだとわかって私の瞳からは再び涙が溢れた。
『な、んで…』
「帽子を返してもらおうと思ってな。」
『…馬鹿…』
「…てめぇ、助けてもらっといて随分な言い草じゃねぇか。」
『馬鹿…っ!!』
あぁ、まただ。また私の涙腺は崩壊したらしい。
「…泣き虫。」
『だ、だって…きちんとお別れも言えなかったのにこんな事になって…も、もう、会えないって思ってたから…』
「あ?別れの言葉なんか言う必要ねぇだろ。」
『…え?』
聞き返す私の言葉に答える事はせず、どこからか電伝虫を取り出したローは「いいぞ」と短く呟いた。
「…っく…」
『!!』
ローに蹴り飛ばされた男がゆっくりと起き上がった。
それと同時に私とローの身体はあの光に包まれる。
「な…!?」
『身体が透け…!?』
「大丈夫だ。」
軽くパニックになっていた私の肩をローがギュッと抱き寄せてくれた。
…あぁ、やっぱりローの近くは安心する。
「っくそ、一体何がどうなって…待て!!」
「…こいつが世話になったみたいだな?」
「は…?」
「桜、丁度良い機会だ。…見せてやるよ、俺の能力。」
そう言ったローはゆっくりと手を前に出す。
「…“ROOM”」
「え?」
『!!!』
「な…っうわぁぁぁぁ!?」
目の前の光景に思わず目を疑った。
「な、なんだこれ、どうなってんだ!?私の身体がぁぁぁ!!??」
文字通りバラバラになったあの男だが、血は一滴も出ておらず…それどころか喋っている。
「これが俺の能力だ。」
『……。』
驚き過ぎて声が出ない。
「…っくく…本当はブチ殺したい所だが、お前の目の前だ。我慢してやるよ。」
『…あり、がとう??』
なんかよくわからないがお礼を述べる。
そうしている内に私達の身体は光に包まれ、足元から消えていき…………
…消えて?
『ロ、ロー!!き、消え、え、なにこれ!?』
「あぁ、問題無い。」
『問題無いって…』
「…俺を信じろ。」
…人がバラバラになってるのに喋ってたり、身体が透けたり、消えたりして怖いはずなのに…何故だろう、ローがいれば大丈夫な気がする。
「捕まってろ。」
私の肩に回されたローの腕の力が少し強くなり、それに合わせるように私もローに強くしがみつく。
そして私達は包んでいた光と一緒に消えたのだった。
海賊ヒーロー
(私を助けてくれたのは不適な笑みが似合う海賊の船長さんでした。)
あとがき
研究所の男が途中から空気な件。
きっと彼はあまりに現実離れした出来事に気絶したんでしょう。←
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