一時帰還
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起きて、桜の残したメモを見つけてから15分。いまだにあいつは戻って来ない。
ゴミ捨て場まで見に行ってみたが、どこにもあいつの姿は無く…ただ、桜の携帯電話が落ちていた。
「…チッ…」
それだけで何があったかなんて容易に想像出来る。…捕まりやがったな、あの馬鹿。
現在の時刻は午前9時半。…一ヶ月間規則正しい生活を送らさせられたせいで、俺にしては早くに目が覚めた。
かと言って、どこにもあいつらの居場所の手掛かりなんて無い上にこの近辺以外の地理を俺は知らない。
…それでも俺が焦っていないのには理由がある。
着替えてから電伝虫を使い、ペンギンに連絡を取った。
「おい、ペンギン。」
【え!?船長!?】
「…なんだその反応は。」
【い、いえ…船長にしては随分と朝早いので…】
「…っくく…お前が桜に俺の事をよろしく頼んでくれたおかげで、一ヶ月間規則正しい生活を送らさせられたからなぁ?」
【ひぃ!!す、すみません!!】
「……そんなことより、あいつと変われ。あの船長。」
【は?はぁ…ちょっと待ってください。】
そう言われて待つ事数分、随分とビビってる声が聞こえてきた。
【も、もしもし…】
「今から俺がする質問に簡潔に答えろ。」
【わ、わわわかりました!】
「お前の能力は別の所にいる人間の元へ人を送る事も可能だと聞いた事があるが、本当か?」
【は、はい…その人間が使っていた物さえあれば可能です!!】
その答えにニヤリと口元に笑みが浮かんだ。
「そうか。ならまずは俺をそちらへ戻せ。」
【「まず」?】
「…さっさとしろ。」
【ひぃ!!は、はい!!…“リターン”!!!】
敵船長がそう叫んだ瞬間、俺の身体はこちらの世界に飛ばされた時のように淡く光って透けていく。
あらかじめ用意してあった自分の荷物のついでに、桜が引っ越す気でまとめてた荷物にも手を伸ばしといた。(年頃の女にしては珍しく、あいつの場合キャスター付きのでかい鞄一つで事足りるらしい。)
…これで後はあいつを“連れて来る”だけだ。
「…っくく、さてどんな反応をしてくれるやら…。」
瞳を閉じれば、あわてふためく桜の様子が目に浮かぶ。