脳内キャパオーバー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
何故か彼…ローさんを家に連れて帰り、何故か彼に手の手当をしてもらいました。
「これでいいだろ。」
『あ、ありがとうございます…?』
「しかし、ろくなもん入ってねぇな。」
彼が示しているのは我が家の救急箱で…
いやいやいや、確かにちょっと量は少ないけど一人暮らしには十分だって。
ここに来るまでにローさんが話してくれた内容によれば、彼は海賊で船長兼船医をしていたが、敵の攻撃(悪魔の実がどうとかこうとか…)を受けてあの場所に飛ばされたらしい。
しかし私が生きているこの世界にそんなにたくさんの海賊はいないし、悪魔の実とか言う物も無い。だから、多分ここは自分からしたら異世界なんだと彼はサラッと言った。
…正直、頭がパンクしそうです。
『……異世界、かぁ…』
「なんだ、信じてねぇのか?」
『信じてないと言うか…貴方があまりにもあっさりと納得しているのに驚いていると言うか…』
「俺がいた世界は何があってもおかしくはない所だ。嫌だ嫌だといつまでも認めないより、さっさと認めちまった方が色々と手も打てるだろ。」
『は、はぁ…』
なんかもう色々と信じられないけれど、ローさんが嘘をついているとは思えなかった。
…それに、信じられない事なら私自身産まれた時から体験してるし。
自分の“能力”と“実家”を思い出して少しネガティブになっていると、目の前の彼が急に上着を脱いだ。
『え、な!?』
「背中の手当は流石に一人じゃ難しいからな。手伝え。」
あぁ、そういう事ですか。そして命令形ですか。
細いのに筋肉質な彼の背中に、勝手にドキドキする心臓。
緊張しているのがバレませんように、と密かに祈りながら彼の指示に従って手当をする。
『…そ、そういえば、いつくらいに帰れそうなんですか?』
赤くなった頬や震える指先を誤魔化すかのように問い掛けた。
「さぁな。」
『え?』
『あの能力については噂で聞いた程度の知識しか無い。飛ばされる直前に船長だけはバラしたから、今頃クルー達がどうにかしてくれてるだろうよ。』
あっけらかんと言う彼に、何故か私の方が心配になってきた。そしてバラすってナンデスカー。
…でも、この人は船員を信用してるんだなぁ…。
『…いいですね。』
「あ?」
『信頼出来る仲間がいるって。』
そう言えば彼の雰囲気が柔らかくなったような気がした。
『はい、終わりましたよ。』
「…お前手際悪いな。」
その一言にムッとして、思いっ切り手形がつくくらい彼の背中を叩いた。
バチン!!!
「~っ!!」
『あ、すみません手が滑りましたー。』
「…ってめぇ…バラすぞ…」
ギロリと睨まれたが無視する事にした。
…あれ、この数時間でなんだか私逞しくなった気がする。
『さて、お腹減ってます?』
「…あ?」
『ご飯作りますから。あ、嫌いな物は?』
「……パン。」
意外と素直に返事するローさんをちょっと可愛い(パンが嫌いとかなんかよくわからないがツボだ)とか思いつつ、私は食事作りを始めた。