酔っ払い注意報
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酔っても尚、俺とは一緒に行けないの一点張りである桜。
依存するだの、足手まといだの、負担になりたくないだの…一度でも俺がそういう事言ったか?こいつは考え過ぎなんだ。
…とりあえず俺の中では強制連行確定なので深くはツッコまない。
文句でも不安でもなんでも、あちらの世界に戻ってから聞いてやる。
『…ろー…』
呂律の回っていない口で俺の名を呼んだかと思ったら、桜が胸に擦り寄ってきた…こいつ、相当酔ってやがるな。
振りほどくのは簡単だが、こんなおいしい状況を自分から終わらせる必要もねぇだろ。
そもそも、酔ったこいつが悪ぃ。
そう自分に都合良く解釈した上で桜の腰に腕を回し、引き寄せる。
すると彼女は俺の背に腕を回し、抱き着いてきた。
『…えへへ、ろーのにおい、すきー』
緩みきった笑顔でそういう事を言う桜に、隠そうともせず盛大に溜め息をついた。
…これはあれか。遠回しに誘ってんのか。
そう考えたが、こいつに限ってそれは有り得ない。
もしここでこの天然誘惑に負けて襲ったら確実に俺はこいつに嫌われるだろう。
もう一度深く溜め息をつく事で自分を落ち着かせ、理性を保つ。
『もう、ろーといっしょにねれないのかぁ…』
「(…わざとかこいつ。)」
『ずーっとはずかしかったけど、じつはろーといっしょにねるのすきだったんだよ!』
「…は?」
『あったかくて、ぎゅーってしてくれるからあんしんできて、こわいゆめなんてみなくて…』
「…。」
『あさおきたら、ろーがいるから“ひとりじゃない”っておもえて、すごくうれしかったから!』
「…チッ…」
酔っているせいでやたら素直な桜に、不覚にも顔が熱く…いや違ぇ。これはアレだ、酒のせいだ。
そう自分に言い聞かせていたら、桜が俺を抱きしめる力が強くなった。
そちらを見遣れば真っ赤な顔に潤んだ瞳でこちらを見つめていて…
『…ろー…すき…』
「な!?」
『…だぁいすき……はなれ、たく…ない……』
…やばい、と思った時にはすでに理性は崩れ去っていた。
「…お前が悪ぃ。」
『え?…ん…』
桜の唇を塞いだ直後に聞こえてきた艶っぽい声が聴覚を支配する。
抵抗するでもなくただ俺の服を掴んでいるだけなのをいいことに、更に深く口づけようとして…気付いた。
『…すー…』
寝 て や が る
「……。」
お預けくらったこっちの気なんか知らずに幸せそうに眠りこけるこいつに小さく溜め息をつく。その後小さく笑いが込み上げてきた。
「っくく…」
…だいたいの人間はアルコールが入ると理性の働きが鈍くなり、普段言えないような事も言ってしまったりする。
『…だぁいすき……はなれ、たく…ない……』
自分の惚れた女にそんな事言われて期待しない男がいたら見てみたいもんだ。
「…もう我慢しねぇからな。」
誰が聞いているワケでもないのにそう呟いた俺は、再び桜の唇に口づけを落とした。
酔っ払い注意報
(…今度は酒が入ってねぇ時に聞かせろ。)