泣き虫笑顔
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…ツキン…
『……っ…?』
ローがいなくなる事を想像したら、何故か胸が痛んだ。
「…どうかしたか?」
『んー…多分なんでもない?それよりも、ローはいつ帰っちゃうの?』
「…そろそろだとは思うが…っくく…」
『?』
答えながら小さく笑ったローだけど、なんで笑っているのかがわからない。
首を傾げているとローが口を開いた。
「…お前、俺がいなくなるのが嫌なんだな。」
『…は?』
「“帰っちゃうの?”って聞き方は帰って欲しく無い人間に使う聞き方だろ?」
『!!!』
ローの指摘に、一気に顔に熱が集中する。
…う、わ…気付かなかった…!!昨日から私、どんだけ子どもなのよ…!!
『そ、それは、その…っ』
「そんなに嫌なら一緒に来いよ。」
『え!?』
「お前一人増えた所で問題ねぇ。」
そう言って頭をポンポンと撫でてくるロー…この温かさが無くなるのはすごく寂しい、けど…
『…ダメ、だよ…』
「あ?」
『だって私、全然役に立たない。あの力だって殺傷能力は無いし…。』
「…。」
『正直ね、ローがいた世界がどんな世界なのか話で聞いただけじゃわからない。けど、時には人と戦わなきゃいけない時もあるんだって事くらいは理解出来てるよ。…だから、戦え無い私は足手まといになる…。』
「…お前、」
『…っはい、この話はおしまい!!ほら、早く帰ろう?今夜はローが好きな物作ってあげるから!』
何か言いかけたローの言葉を無理矢理遮り、笑顔を作って彼の前を歩き出す。
…気は抜いちゃいけない。今抜いたら確実に泣いてしまうから。
私だって“ローと一緒に彼の世界に行けたら”って想像した事が無かったワケじゃない。むしろ行きたいくらいだ。
…でも、考えれば考える程、私とは違う世界の人なんだと思い知らされる。
ローは海賊の船長で。もちろん人を殺した事だってあるだろうし、それが必要だった事も理解している。
…なるべくなら殺さない方がいいに決まってはいるが、それを咎める程子どもでも無い。
けれど、私の“力”には人を傷付ける力は無い。吹き飛ばすくらいは出来るけど…。
そんな私がいてもローの…船の足手まといにしかならないに決まっている。
そんな存在、船員達だって認めないだろう。
…だから、私はローと一緒にはいけない。
泣き虫笑顔
(…笑って、見送らなきゃ。)