迷大人、拾いました。
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「…着地に失敗して背中を少し打っただけだから問題無い。」
『お、お医者様に見せなくて大丈夫なんですか?』
「俺は医者だ。」
『……。』
「…言っておくが、嘘じゃねぇぞ。」
『っははははい!!信じます信じます!!』
ギロリと睨まれ慌ててそう言えば、彼は「わかれば良い」と溜め息混じりに言った。
「だいたい、少しは自分の事心配しろ。」
『え?』
「俺よりも重傷だと思うがな。」
そう言いながら彼は自分の手をヒラヒラと動かす。
……手??
チラリと自分の手を見れば、ガッツリと刀を掴んでいて……って!!!
『い、痛ぁぁ!!!』
すっごい今更だけど、掌が痛い。凄く痛い。物凄く痛い。
刀から手を離して見れば、見なきゃ良かったと思うくらい真っ赤で…あぁどうしよう、頭クラクラしてきた。
「まさかとは思ってたが、お前本気で気付いて無かったのか?」
くくく、と凄く楽しそうに笑う彼にイラッとした私は悪くない。
「…貸せ。」
『へ?』
「手。」
言われるがままに怪我していた手を差し出すと、どこから出したのか包帯で止血をしてくれた。その手際の良さから本当に医者なんだと思う。
「…患部を心臓より高い位置に上げとけ。」
『は、はい…あの…ありがとうございます…。』
素直にお礼を言えば、彼は驚いたように目を見開き私を見つめた。
…改めて顔を見ると、すごく整った顔をしてるなぁ…イケメンってこんな人の事を言うんだろう。目つき悪いけど。恐いけど。
しかし次に彼が発した言葉に、私は先程素直にお礼を述べた自分を殴り飛ばしたくなった。
「なら、しばらくお前の家に泊めろ。」
『…は?』
「後で説明するが、簡単に言えば俺は異世界に飛ばされたらしい。だからこの世界に行くあても金もねぇ。」
『い、いや、ちょ、待っ…!!』
「あ?せっかく手の怪我診てやったのに断んのか?」
『でも、そんな急に…』
「お前、名前は?」
『え、え!?し、嶋村桜、です…』
「…これからよろしくな、桜。」
…そう言って有無を言わさずにニヤリと笑う彼があまりに凶悪過ぎて、私は自分の運の悪さを呪った。
迷大人、拾いました。
(いやいや拾ったというより無理矢理ついて来た!)
あとがき
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