あと一歩の勇気
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…実は、あの夜一緒に寝て以来、何故か私は毎日ローと一緒に寝ています。
ローいわく「またうなされても困る。いちいち起こしに行くのも面倒だ。」との事なのですが……起こしに来ないでほっとけば良いのに、ローってやっぱり優しい人なんだと思う。
翌日の朝はかなり焦りました。あの夜は気が滅入ってたせいで頭が鈍ってたけど…良く考えたら恥ずかし過ぎて死ねると割りと本気で思った…。
…付き合っても無いし、ましてや知り合って2週間くらいしか経っていない男女が同じ布団で寝るなんて…って思いましたが、ローはやましい気持ちなんて無くて…私を心配して言ってくれたのだから、変に意識したら逆に失礼だよね!と割り切ってます。
おかげで最近少し慣れました。
…本当、悲しくなるくらい少しだけど。
ベッドに入るまでに躊躇う時間がちょっと短くなったくらいだけど。
だ、だいたい、ローが私を抱きまくら代わりにしてるのがいけないんだ!
毎朝起きたら腰に手が回ってて、すぐ近くにローの整った顔がある私の身にもなって下さい!朝から心臓にかなり負担かけてるよ!
…でも、“あの夢”を見なくなったのもまた事実で…。
……私、本当ローに頼ってばかりだな…。
チラリとカレンダーを見る。
…ローが来てから約2週間。
ローが元の世界に帰れるまで1ヶ月くらいって言ってたから…おそらく後1週間もすれば彼は帰るだろう。
…それまでに、ちゃんと全部話せるかな…。
きっと私の“能力”については、ローからしたら大した事ないのかも知れない。異世界に飛ばされるような世界に住んでた人だし。
………でもやっぱり、怖い…。
私はなんて意気地無しなんだろう。
ローならきっと大丈夫、って思っているくせにいざ話そうとすると頭に父親が浮かんでしまう。
…あの日まで“大好き”だった父親は、あの日以来何度も私を殴り、罵声を浴びせ、存在を否定し…同じく“大好き”だった母親は私と話そうともしなくなった。それでも『きっといつかまた私を好きになってくれる』なんて夢を見て。
…あの人達は、世間体を気にしていただけで最初から私を愛してなんかいなかったのに…。
『…っ』
…嫌だ、気持ち悪がられるのは
…嫌だ、無視をされるのは
…嫌だ、存在を否定されるのは…
…嫌だ、ローに嫌われるのは。
『…っけど、いつまでも逃げてちゃいけない。』
“近い内に全部話す”って約束したじゃない。
ローは無理に聞き出そうとせず、何も言わずにずっと私が話すのを待ってくれている。
いつまでもそれに甘えてちゃいけない。
…やっぱり怖い、けど…
ちゃんと向き合わなきゃ。ローに、自分に…。
あと一歩の勇気
(…逃げるな、自分…!!)
あとがき
『ローはやましい気持ちなんて無くて…私を心配して言ってくれたのだから、変に意識したら逆に失礼だよね!』って言う発言をローが聞いたらきっと内心涙目w
心配してるのは事実だけど、そこまで好きな相手から信頼され過ぎてても男としては少し悲しい。つうか少しくらい意識してくれ!!的なw