可愛いなんて
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『ロー暑いー。』
「……言うな。」
夏場の買い物帰りって地獄だと思う。アスファルトからの照り返しで更に暑く感じるし。荷物は重いし。
「…だいたい、なんで俺まで…」
『働かざる者飲むべからず!』
晩御飯の買い出しに行こうとしたら、ローが短く「酒。」とだけ投げ掛けてきた。『私はローのパシリじゃない!』とブチ切れた私は彼の腕を掴んで半ば強引に連れ出したのだ。
『ロー大きいんだから日陰になって。』
「…風通しが良いようにいっその事バラしてやろうか。」
『嘘です冗談ですすみません。』
「わかればいい。」
『…でも本っ当暑い。家帰ったら水風呂にでも入ろうかな…。』
「…お前にしては珍しくいい考えだ。」
『一言余計ですー。』
てーい、と大した力も入れずにローの腕を叩いてみた。
「あ゙?触んな暑ぃ。」
『わー酷いー。』
「…そんなに触りてぇなら水風呂一緒に入るか?」
『ごめんなさいすみませんマジで私が悪かったです。』
「っくく、遠慮するな。」
『遠慮じゃありません、拒否です。』
帽子を深くかぶり、ローの方を見ずに努めて冷静に言っていたが…どうやら私は彼に勝てないらしい。
「…耳、真っ赤だな…?」
『う、うるさい!!』
思わず一瞬想像してしまい、恥ずかしさのあまり真っ赤になった私にバッチリ彼は気づいていた。
『そ、それに、み、耳元で囁かないでって言ってるでしょ!!』
「あ?俺に指図すんな。」
『じゃあお願い!』
「嫌だ。」
『……馬鹿ロー。』
「っくく…可愛いお前が悪い。」
『…………へ?』
突然聞こえた単語に、思わず彼を見つめる。
かわいい?
可愛い…
…可愛い!?!?
『な、な…え!?』
「なにボケッと突っ立ってんだ、暑ぃんだからさっさと帰るぞ。」
当の本人は涼しい顔で…あれ、私聞き間違えた?でもはっきり聞こえたよ?
…“可愛い”って……!!!
ボン!と湯気が出るくらい一気に真っ赤になった私は頬を抑えてその場にしゃがみ込む。
…やばい、熱中症になったかも。
だって異常に身体熱いし。
心臓バクバク言ってるし。
頭クラクラするし。
『…ローの馬鹿…』
少し遠くなった背中に向かってもう一度そう呟いた私は、仕返しに今日の夜パンを出してやろうと決意したのであった…。
可愛い、なんて
(き、きっとローはいつも通りからかってるだけなんだから落ち着け自分うわわわわ…!)
(…チッ…何柄でもねえ事言ってんだ、俺は。)
あとがき
思わず言っちゃったローさん。
足早に歩くのは照れ隠し。