独りが怖い
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…なんでこんな事になっているんでしょうか。ダレカオシエテー。
今の私の状態は、リビングのカーペットの上に足を伸ばして座っていて、太ももの上にはローの頭があって…
『…ロー??一体これはどういう状況?』
「あ?膝枕。」
『いや、わかってるわ!!私が聞きたいのはなんで私がローに膝枕してるのかって事だから!!』
「てめぇが俺の安眠妨害したからだろうが。」
『朝だから起こしただけじゃん!!』
「…うるせぇ。どうせ今日は一日休みなんだろ、黙って膝貸してろ。」
『…暴君め。』
…そう、何故か私はローに膝枕をしているのだ。
今朝、いつも通りローを命懸けで起こしてから一緒に朝食をとった。
後片付けをしていると、眠そうな顔をしてローがテーブルに肘をついていて…
『まだ眠いの?』
「…眠ぃ…なんでこんな規則正しい生活させられてんだよ、俺は。」
『…船長、夜型の生活って身体に悪いと思いまーす。』
「……なぁ、お前今日はバイトあんのか?」
『え?今日は休みだけど…』
「……よし。ちょっと来い。」
その言葉に素直に近付いた私が馬鹿でしたよ、ええ!
腕を引かれて座らされたと思った瞬間にローの頭が太ももに乗りましたからね!
『重いー。』
「それだけ中身が詰まってんだ。」
『中身減らして下さい。』
「っくく…無茶言うな。」
私の足から頭をどける気がないローに諦め、溜め息をついて私は後ろにあったソファにもたれた…が、なんだか視線を感じる。
『…なに?』
「…前から思ってたが…お前、瞳の色変わってるな。」
『…っ。』
…私の瞳は濃青色。何故かはわからないが、多分“あの力”が原因だと思う。
…私の家系でこんな色をしているのは私だけだから。
暗い所や一瞬見ただけではわからない色ではあるが、この瞳の色も両親は気味悪がった。
…ローにも気味が悪い、って思われてるのかな…。
早く全てを話さなきゃ、と思う反面、気味悪がられたり嫌われたくないと言う気持ちが話したく無くさせる。
…ローの世界にも不思議な能力を持った人がいるみたいだけど、それは“悪魔の実”と言う物を食べたからで…私みたいに生まれつきの人はいないと思う。
…原因不明だなんて、あちらの世界でもきっと異端者だろう。
「…桜?」
ローに名前を呼ばれてハッとした。
『…ご、ごめん、ちょっと考え事!この目はね、私の家系でも私しかいないんだ!両親は普通の色だし……気持ち、悪いよね…。』
…努めて明るく話してはいたものの、過去の記憶…両親からの非難の声を思い出して語尾は段々と弱くなる。
下から見上げてくるローと目が合わないように少し横を向いて涙を堪えた。
…すると、頬に暖かい物が触れた。
『…ロー…?』
それはローの右手で…思わず彼の方を見ると、ニヤリと笑った彼と目が合った。
「…良い色じゃねぇか。」
『…え?』
「海の色だ。見てて落ち着く。」
『!』
“良い色”、“見てて落ち着く”…初めて言われたその言葉が私の胸に優しく入りこんでくる。
『…ローって、本当に不思議。』
「あ?」
『な、んで…こ、なに、私のほ、欲しい言葉…くれるの?』
「…泣かなくてもいいだろ。」
『う、嬉しくて…溢れ出る、の、馬鹿っ…』
「…っくく、涙で濡れるとますます海みてぇだな。」
そう言って笑うローの笑顔がなんだか優しくて、私の涙は更に溢れた。
……あぁどうしよう、貴方がいなくなった後の事を考えたくない自分がいる。
独りが怖いだなんて
(今まで思った事も無かった…それが当たり前だったから。)
(…最近ローの前で泣いてばかり…私、こんなに弱かったっけ…?)