これはきっと
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『わぁー…!!』
祭りをやっている場所に着くと、先程よりも瞳を輝かせて桜が俺の腕を引いた。
『ロー、早く早く!』
「っ引っ張るな、少し落ち着け。」
『…あ、ごめん…誰かとお祭りに来るなんて小さい頃以来だから、嬉しくてつい…』
「……はぁ……行くぞ。」
『え?』
「引きずり回さねぇなら付き合ってやる。」
『…うんっ!!』
俺の言葉に心底嬉しそうに笑う桜に自然と口元が緩む。…俺の頭も平和ボケしてきたかもしれない。
『あ!わたあめ!買う!』
『ヨーヨー!釣る!』
……祭りに来てからこいつの精神年齢がかなり下がってる気がする。けどまぁ、楽しそうに笑ってる姿は悪くねぇ。
本人は気付いちゃいないが、先程からすれ違う男が振り返ってこいつを見ている…まぁ、元々整った顔立ちしてるからな。
いつもは面倒なくらい絡んで来る女が、今日はこいつがいるおかげで近寄って来ないくらいだ。
自分とこいつを比べて、勝てないと悟ってんだろう。
『ローもわたあめ食べる?はい。』
「………甘ぇ。」
『だって飴だもん。』
「これ絶対身体に悪ぃだろ。」
『…夜更かし・少食・暴飲の医者が言っても説得力無いなぁ…』
「……今すぐ帰っても良いんだぞ?」
『わ、わ!嘘!ローはすっごく説得力のあるお医者様です!』
「嘘くせー。」
『え、えーっと…あ!自販機発見!お詫びにコーヒー買ってくるから待ってて!!』
「っおい!…チッ…」
逃げるように自販機とやらに向かっていった桜に思わず舌打ちをした。
…そんなに離れてはいないが、これだけ混んでいると下手に動けばはぐれる可能性がある。
仕方ねぇ、と小さく溜め息をついて近くの木に寄り掛かって待つ…いや、待とうとした。
「……あいつ、何やってんだ…」
自販機の前で桜が3人組の男に絡まれているのが目に入り、再び舌打ちをする。
一度帽子を深く被り直してから俺はあいつの元へと足を進めた。