迷大人、拾いました。
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「…てめぇ、何者だ…」
そう言いながら殺気全開の男に私は刀を突き付けられている。銃刀法違反!!
何故こんな事になっているかと言うと、あれは数分前…
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『あ゙ー疲れた…』
バイト終わり、そう溜め息をつきながら私は家への道を歩いていた。
8月中旬ともなると、夜が更けても外は汗ばむ気温で…無駄だとわかりつつ、あまりの暑さに手でパタパタと自分を扇ぐ。(予想通り無駄だった。)
『(そうだ、コンビニでアイス買おう。)』
そう決めた私は、コンビニがあるいつもとは違う道で帰る事にした。
…それが全ての始まりになるとも知らずに…。
「………っ。」
『ん?』
コンビニで買ったアイスを食べながら自宅へと足を進めていると、路地裏からとても小さいが声が聞こえた…ような、気がする。
残り一口となったアイスを口に入れ、そーっと路地裏を覗いて見ると…人の足が見えた。足の大きさからして男性だろう。
『…あの、大丈夫ですか…?』
相手がどんな人間だかわからないが、もしかしたら怪我をしているのかもしれない。そうなると放っては置けない、よね?
『へ…っ!?』
恐る恐る尋ねた瞬間、喉元に鋭い刃が突き付けられた。
ここで冒頭に戻ります。
…やばい人だったか、うわどうしよう私ピンチだよこれ誰か助けてよへいへいへい!(混乱中)
「何者だ、と聞いている。」
『あ…』
キッ、と男に更に睨まれ、私の身体は震える。
だってどうみてもこの人堅気の人じゃないよ!!
「さっさと答えろ。」
『い、一般市民です!!』
「あ?…おい、ここは何処だ。」
『へ?日本、ですけど…』
目の前の男は「ニホン?」と眉間にシワを寄せる。そしてその後顎に手をあて、何かを考えているようだった。
…いやいや、まさか知らないはずはないでしょ。はっ、もしや記憶喪失!?
だとしたらやっぱり病院に…!
「…っ」
『!!』
男の人が小さく呻き声をあげたので飛ばしていた思考を戻して見ると、彼はチッと舌打ちをした。
『あ、あの…どこか怪我されているんですか?』
「…てめぇには関係ねぇ。」
『で、でも…』
「うるせぇ。見逃してやるからさっさと消えろ。」
ブチッ。
私の中で何かがキレる音がした。
『……せ…か…』
「あ?」
『っ人に刀突き付けといて、関係ないとか消えろとか…自分勝手過ぎませんか!?』
「知るか。」
『怪我、してるんですよね?』
「だからてめぇには…『してるんですよね?』…チッ。」
忌ま忌ましそうに舌打ちをした後、彼は小さく「たいした怪我じゃない」と呟いた。
『怪我は怪我です。とりあえず見せてください、救急車が必要かどうかはそれから判断するんで。』
「俺に指図するな。」
『もし酷い怪我ならお医者様に…』
「うるせぇ!!」
…その言葉に、完っ全に頭きた。
ガッ、と喉元に突き付けられていた物を手で掴み、横にずらす。
「!?お前、」
『…っいいから、怪我人は黙って言う事聞きなさい!万が一があったらどうするの!!!』
ビシッ!と彼に空いている手の指を突き付けて言った。(良い子は真似しないように。)
「……。」
『……。』
沈黙が辺りを包み込み、私の頭も少しずつ冷静になっていく。
頭に血が上っていたからとは言え、私なんでこんな凶器持ってる危ない人に説教してるのよ…!!
「……っくく…お前面白いな。」
『……へ?』
内心泣きそうになりながらあわあわとしていると、小さく笑い声が聞こえた。
それは紛れも無く目の前の男の声で…。
「まさかこんな普通の女に説教される日が来るとは思わなかった。」
いまだ面白そうに笑う彼に、ポカンとする私。…よくわからないけど、とりあえず大丈夫そう??