嬉し涙
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ドアの前で座り込んでいたら、ギッ、と音がした。多分ローがドアにもたれ掛かったんだと思う。
「…お前がどんな人間だろうと問題無い。」
『…え?』
静かに、でもはっきりとドアの向こう側からローの声が聞こえてきた。
「俺自身異世界から来てんだ。普通じゃねぇだろ?」
『…ロー…』
「俺はお前の中身が気に入って誘ったんだ。」
ゆっくりと、まるで子どもに言い聞かせるかのように話す彼に胸が熱くなる。
『もしかしたら私、本当はバケモノなのかもよ?』
「お前みたいなバケモノ、怖くもなんともねぇな。」
『何の取り柄も無いただの一般人です、って言ったら?』
「俺に説教するわ、ガキ扱いするわ…その時点で一般人じゃねぇよ。少なくともあいつらからは尊敬の眼差しで見られるだろうな。」
『……超能力者です、って言ったら?』
「俺がいた世界には超能力者みたいな奴らが腐る程いるんだ、今更驚きゃしねぇ。」
私の言葉一つ一つに対して「だからどうした」と言わんばかりの答えをくれるロー。
…“私”を認めてもらえるなんて、初めてだ…。
『…ローのお人よし。』
「…お前が言うな。」
『…あり、がと…』
「泣くんじゃねぇ、馬鹿桜。」
『…近い内に全部話すから。』
「あ?」
『今、全部を話す勇気も覚悟も私には無いの。ローを信用していないワケじゃないよ?…私が臆病なだけ。』
「…。」
コツン、とドアに額をくっつける。
…頬を流れる涙はしばらく止まりそうにない。
…この力のせいで実の両親に愛されず、気持ち悪がられる日々を過ごしてきた。
だから、いくら大丈夫だって言ってくれてもこの力の事を…全てを話すにはかなりの勇気と心の準備が必要なのだ。
でも、近い内に必ず話すから。
ローなら大丈夫だってわかっているから。
だから…
『…少しだけ、待っててくれる?』
「………仕方ねぇな。」
相変わらず面倒くさそうに呟くローに小さく笑いが零れた。
嬉し涙
(ロー、本当にありがとう。)