拒否権なんて与えない。
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変な言葉使いで走り去っていったあいつの背を見送りつつ小さく溜め息をついた。
…最初は、間接キスごときで真っ赤になるあいつが面白くてからかってやろうとしただけだ。
俺の名前を呼ぶ震えた声に、潤んだ瞳。赤く染まった頬に極めつけは上目遣い…これを全て無意識でやっているんだからタチが悪い。
「真っ白過ぎて汚したくなる。」
多少なりともアルコールが身体に入っている自分の理性は当然普段よりも崩れやすく…そう呟いた俺は気が付けば彼女の頬に指を滑らせていた。
抵抗するそぶりも無く、再び震える声で俺の名を呼ぶ桜に頭の隅でがらがらと理性の崩れる音が聞こえた。
…タイミング良くペンギンからの連絡が入ったからよかったものの、あのままだったら確実に手を出していたと思う。
きっとキスだけじゃ済まなかった。
【…船長?聞いてます??】
「…あぁ。そうだな、とりあえず無駄な戦いは避けろ。俺がいないとバレても厄介だからな。」
【了解。】
『--…!!!』
その時、風呂を沸かしてくると言った桜の奇妙な叫び声が脱衣所から聞こえ、思わず笑ってしまった。
「…っくく…」
【…楽しそうですね。】
「あんな女そっちにはいないからな。」
【…俺は船長が無理矢理連れて来ないか今から心配です。】
「あ?お前何言ってやがる。欲しい物は奪うのが海賊だろうが。」
【……はぁ……桜さんに同情しますよ、俺。】
「…っくく、お前とあいつは気が合いそうだな。」
【……それじゃ、失礼します。】
逃げるように通信を切ったペンギンに小さく笑いつつ、俺は少し温くなった酒に口をつけた。
拒否権なんて与えない。
(俺は相当お前が気に入ったようだ。)