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本人にその気は無いらしいが、どこか俺をガキ扱いするこいつに、何故だか無性にイライラした。言っている事が全て正論だから余計に腹が立つ。
最初に聞いた話じゃ俺の方が年上だと言うのに。
…そんなこいつが俺の世界の話を聞きたがった。
話す条件として敬語とさん付けを無くすように言うと、目の前で真っ赤な顔で慌てだすこいつに、ニヤリと笑みがこぼれる。
…少しからかってやるか。
どうやら“男”に免疫が無いらしい。
そっと近付き、耳元でわざと低くした声で名前を囁く。
…しかし、こいつの反応は俺が予想していた物とは違った。
『ロ、ローさん、名前呼んでくれましたね!!!』
「……あ?」
『初めて会った時…って言っても昨日ですけど、ずっと“おい”とか“お前”とかだったじゃないですか!!』
だからすごく嬉しいです、と笑う桜から何故か目が離せなかった。
『…ローさん?』
「…なんでもない。」
黙ったままの俺を桜が呼ぶ声でハッと我に返った。
…柄じゃねぇが、見惚れていたらしい。
『ローさん、もう一回名前呼んでくださいよ!!』
「…桜。」
『…えへへ!名前呼ばれるって嬉しいですね!』
本当に幸せそうに笑うこいつに毒気を抜かれてしまった。
はぁ、と溜め息をついてからコーヒーに口をつける。
「…そんなに呼んで欲しけりゃ呼んでやる。その代わりお前も直せよ、敬語と呼び方。」
『ゔ…ぜ、善処します…。』
さっきまで笑ってたと思ったら急に悩み出す…ころころ変わる表情に自然と小さく笑いがこぼれた。
…本当に面白ぇ女だ。気に入った。
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(…ところでローさんの世界のお話は…)
(お前の敬語と呼び方が直ったらな。)
(えぇ!?)