緩やかな時間
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夢に落ちていた思考が引き上げられ、ふわふわとした寝起き特有の感覚に見舞われる。
朝、かぁ…起きなきゃ…今日はローさんと出かけなきゃいけないし…
でも布団がいつもより温かくて気持ちいい…なんて言うか、包まれている安心感と言うか…
「…ん…」
………ん??
すぐ近くで聞こえた自分以外の声に、パチリと瞳を開ける。
まず目の前に飛び込んで来たのは誰かの胸。…え、胸?
そこからゆっくりと視線を上に上げていくと…
『え!?』
…皆さん、事件です。
私、何故かローさんに抱きしめられています。
突然の事に結構大きな声を出したのに、ローさんは眉間にシワを寄せただけでいまだ眠っていた。
ちょ、な、え!?
視線を動かして辺りを見回せば、そこは私の寝室で…いやいや、私昨日ソファで寝たよね!?
一度頭を整理しようと思ったけど、どう頑張っても無理だった。
『(と、とりあえずここから抜け出よう…)』
いまだ混乱する頭でなんとかそう考え、私を抱きしめるローさんの腕を外そうと試みる。
『うぐぐぐ…って、え!?』
…何故か更に強く抱きしめられてしまい、いよいよ私の頭は大パニック。
『ロ、ロ、ローさん!!!起きてください!!!』
「……。」
『ローさんてば!!!』
「………あ゙…?」
予想通りと言うかなんと言うか…ローさんの寝起きは最悪でした。
一瞬命の危機を感じたけれどそんなのに構っていられない程私はテンパッていた。
『お、おおおはようございます!!!』
「…うるせぇ…」
『いや、あの、なんでこんな状態になっているのか説明していただけるとありがたいのですが!!』
なんでソファで寝たはずの私がベッドでローさんにだ、抱きしめられて寝ているんですか?と尋ねれば、ローさんは眉間にシワを寄せてこちらを睨んできた。
…あ、やばい。瞳孔開ききってる。
「…お前が離さなかったんだろーが。」
『へ?』
「うなされてたから起こしてやろうとしたら俺の手を掴んで離さねぇから、仕方なく運んでやったんだろ、あぁ!?」
『う、そ、そうだったんですか…』
うわわわわなんかすごく申し訳ないぃぃぃぃ!!!!!!
『…ご、ごめんなさい…』
「しかもこんな朝早くに起こしやがって…」
『す、すみません…でももう9時ですよ?』
「俺からしたら早朝だ。」
『どんだけ不健康なんですか。』
「あ゙?」
『な、なんでも無いです!!ほら、今日お買い物行かなくちゃですから準備しましょう!!今ご飯作りますから!!』
「………まだ眠ぃ…。」
『ダメです。図書館行く時間無くなりますよ?』
「…チッ。」
舌打ちをした後、仕方なさそうにローさんはゆっくりと身体を起こした。
『ほ、本当にすみませんでした!!』
「…お前、顔真っ赤だな。」
『し、仕方ないじゃないですか!!こんなの初めてなんですから!!』
そう返せばローさんはすごく驚いた表情を見せた。
え、私なんか変な事言った?
『な、なんですか?』
「…いや、別に。」
『??』
「…俺、飯いらねぇ。」
『え?』
「コーヒーがありゃ十分だ。」
『不健康にも程があります。おにぎりくらい口にして下さい。』
「…チッ…。」
こういう時の舌打ちには了承の意が含まれているんだと気付いたが、本人に言ったらなんか怒りそうだから言わないでおいた。