オーボエってむずかしい
ふきたかったよぉ……三校合同練習
2018/12/09 18:30吹部初心者のぴーのすけに、いよいよ寒さの厳しい冬がやってきました……
もう初心者だからとはいってなれない、そんな時期。
2週に1かいのレッスンで先生に呆れられないよう、毎朝ばかみたいに早朝に起きてひとりで朝練をする習慣がついて1週間がたとうとしていました……
今日は三高合同練習がありました。もうぴーのすけは昨晩から悪寒しかしませんでした。
参考合同練習というのは、ぴーのすけのかよう、ぴよヶ丘高校、近所の西高校、それからうさぎ山高校の三高の吹奏楽部が集結して、なぜかいっしょに同じ曲を吹こう、という恒例らしい催しです。
しかしみんなでお互いを高め合い切磋琢磨する、という青春らしいモットーなのかと思いきや、蓋を開けてみると、実はぴよが丘高校を除く、西高校とうさぎ山高校は全国大会に出場するくらいのレベルで、あきらかに格が違うのです。
ぴーのすけの部長さんがいつも、ばかにされている、といって歯ぎしりをするくらいです。
なぜそんな惨めな戦い(?)に執着するのか、それはぴーたちの士気をあげるためにすがり付いてでもこの機会を逃すまい、という顧問たちの思惑によるものなのでした。
また、西高校は男子校、ぴよヶ丘は女子高だから、という不純な動機もあったりなかったり……
息巻いているのは正直顧問たちだけで、ぴよヶ丘はみんな意気消沈する者か、男漁りにいくことを隠しもしない者くらいにしか別れないのでした。
そんな中ぴーのすけは思いました。
どうやって用事をかぶらせようかな……
しかし以前、本番当日に8度の熱が出たという嘘バレバレの電話をして、顧問に罪悪感を煽る悪質なコメントをされてから、もうこれ以上言い訳を使って休む勇気はありませんでした。
だからぴーのすけは五時に起きてわざわざ学校の裏から侵入し、(ちゃんと警備員のおじいちゃんにも許可を貰いました)朝練をしてから腹を括って戦場に赴いたのです。
しかし現実はぴーのすけの想像を絶するものでした。
自分よりもずっと上手な1年とかいたらやだなぁ……
とか身の丈に合わないことを考えていたぴーは、れんしゅうが始まってすぐに席につくように指示されました。
席?
みてみれば、西高校と思われるオーボエを持った男子生徒2人の間に、意味深な空席が……
どうやらうさぎ山にはオーボエはいないらしく女子は見当たりません
そこに、座れと……?
そのときぴーのすけの脳内にはマイナスな思考が渦巻いていました。
知らない男子二人の間で、自分の未熟極まりないリードの吹き方やら、吹けないところは平気な顔で吹き真似をするせこい合奏の受け方を披露するというのか……?
もう何が何だかわからない気持ちで、虚空を眺めて静止していました。
するとふいにあらぬ方向から声をかえられました。
こっち
西高校のオーボエの先輩が、見かねて声をかけたようでした。
あ、やっぱり……?
ぴーのすけは故障したロボットのように、それからずっとびくともせずオーボエの吹き真似を続けました。(吹きやすい高音はふく)
時間がたつにつれ、ぴーのすけの心にも少し余裕ができてきました。
ぴーは失念していましたが、いまぴーの左隣に座っている人は、今年の夏、3校合同があったときに憧れの目で見ていた先輩でした。
まだ楽器の音色を聞き分けられなかったぴーは彼の音色を聞き取ることはできませんでしたが、吹き方がまさにプロだったからです
オーボエともういっこの楽器をときどき交代させながら悠々と吹いてみせるその姿に、ぴーは来年あったら話してみたい、とかこれまた身の丈に合わないことを考えていました。
隣で聞くあこがれ先輩の音色は、とても綺麗なオーケストラみたいな音でした。
まさにiTunesとかの音源できくオーボエのソロみたいな音。
音がうるさいくらい大きくて(失礼だけど、隣で聞いていたら本当にそう思うくらいボリュームがある)、低い音も高い音も、音程はもちろんのこと、息を当てる場所を外さない。まさにオーボエをきれいにふくふきかたを完全理解している、といったかんじです。
あーあ、こんなに上手く吹けてる人の隣でへったくそな音を出すなんて、無理無理
と戦意喪失するかと思いきや
あこがれ先輩は性格まで女神のような人でした
1年生ですか?
もしかしてあの先生に習ってますか?
始めたばっかりですか?
あきらかに後輩であるぴーにも敬語を使い、やさしく問いかけてくれるのです。
それは無理やり仲良くなろうとか、情報を知ろうとかいったかんじの問いかけではなく、どちらかというと相手の緊張をほぐすためだけのような質問……
それはぴーを戦意喪失させるどころか、リラックスさせてくれました。
相手を怖がらせず、不快にも思わせない距離の絶妙な取り方……
この人は楽器だけでなく性格まで極めているのか……?!
なんだか神様を呪いたくなるくらい、あこがれ先輩は高校生を超越した生き物でした。
ところで西高校は男子校です
ぴーは絶賛吹くのをサボり中の演奏の間、あこがれ先輩は攻めか受けかを考えていました
こんな女神様みたいな人がサイコパスな義弟に迫られすぎて壊れる話があったな……
でも断然攻めだと思いました
こういう、誰とでも平等に仲良くなってしまうような欲のうすそうな人が、この子だけは渡さないから、みたいな独占欲をみせつけたら最高に萌える
不純な妄想に耽り、やがて合同練習は幕を閉じたのでした……
次回予告 来る、第2回目三高合同(一週間後
コメント
- znelmylstk (非ログイン)2021/03/17 03:54
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