童話BL
むかしむかし、白雪という美しい「王子」がおりました。
儚げな容姿、誰にでも好かれる優しい気質、美しい歌声でお城の誰もを魅了した白雪は、それをやっかんだお后に追放されてしまいました。
しかし白雪は実は心優しい姫ではなく、打算にまみれた策士だったのです。
白雪は自分を追いやったお后を恨みながら、小人たちの家をみつけました。
小人たちと生活して数年、単調な日々に飽き飽きしてきた白雪は、怪しい魔女から渡された毒りんごをわざと食べてみることにしました。
小人達がかけつけたときにはもう遅く、白雪は青白い顔で倒れていました。
そこへ勇敢に白馬に乗った王子様が偶然通りかかり、同性にもかかわらず一目惚れ。
キスをするとー…
不思議なことに愛の力で魔法は解け、白雪は目を覚ましたのでした。
そして、2人は結婚して仲睦まじく、めでたしめでたし。
とはいきませんでした。
「はぁ…だから言ってるでしょう、姫はお兄様のお嫁さんなのですから、さっさと自分の部屋に戻ってください」
「えー、なんでいいじゃん、今夫はいないし」
「そういう問題じゃないんですよ。ばれたら色々と面倒でしょう、さぁ帰った帰った」
「知りませーん、
面倒なのはー、リツでしょ?」
「しつこいな…使用人を呼びますよ」
リツ、とよばれた男が呼び鈴に手を伸ばそうとすると、それに気づいた白雪が俊敏な動きで手首を掴んだ。
か弱そうな見た目からは全く想像出来ない圧倒的な力でぐん、と引っ張られ、抵抗できずに彼の正面に突っ込む。
ぶつかる…っ!と思ったのもつかの間、リツの体は白雪によってがっちりとホールドされていた。
こんなやり取りをするのももう何回目になるだろう。
初めに兄が突然彼を連れてきた時には、可憐で可愛らしい人だと思っていたのに、気づいた時から兄が外出中のときを狙って、俺の部屋に押しかけてきてはちょっかいをだしてくるようになった。
それも普通の男よりも力があって、無駄に頭がきれるからタチが悪い。
気づくといっつも、こっちばかりが振り回されているのだ。
お兄様はこいつのどこを気に入ったんだろう。
もしかして、だまされてるんじゃないか…?
もんもんと考えているうちに、気づくと俺の腕は後ろ手にロープでぐるぐる巻きにされていた。
「わっ、ちょ、何コレ?!
どこからとってきたんだよ??」
敬語も忘れて思わず詰る。
すると白雪は不敵な笑みを浮かべて唇に指を当てた。
「秘密♡」
身動きが取れないのをいいことに、白雪はリツのシャツをたくし上げ、手をその白い肌の上に滑らせた。
「白いね」
「ずっと部屋に篭っていれば嫌でも白くなるさ俺には大事な勉強の予定が毎日詰まってるんだ」
地味にコンプレックスの白い肌を指摘され、ついむっとして子供っぽい返しをしてしまった。
これでは相手の思うつぼじゃないか、はずかしい。
と思っていると、ふふっ、と白雪が笑った。
「いいじゃん、綺麗だよ?すごく」
男の体相手に本気で言ってんのか、と思ってちらっと見ると、不覚にも目が合ってしまった。
その目はいつも俺をからかうときとは違う、情欲で揺らめいていた。
うそ、やば。こいつ、本気だ。
縄を自力で解くことを諦め、言葉で説得することにした。
「なぁ、もしこのことを俺がバラしたら、あんたは追い出されて、また森の中で家を探さなきゃいけなくなっちゃうかもしれないんだよ?」
一瞬白雪の手が止まる。
自分のこととなれば誰だって必死になる。
これは響いたか…?
「今縄をほどいてくれたら、一切口外しないって約束するから、ほど」
「『お姉様』でしょ、リツ」
「へっ?」
「最初に言ったでしょ、『お姉様』って呼びなさいって
今、なんていった?
あんた?」
いつもお姉様ってよんでないけど、なんて言い訳は通用しそうにない。
俺は何か白雪のスイッチを押してしまったようだ。
白雪の顔はいつも通りの優しい笑顔を称えていたが、目だけは笑っていなかった。
ずぼ、と指を口の中に差し入れられ、舌を掴まれたかと思えば外にぐい、と出された。
生理的な涙で視界が潤む。目の前にあるはずの白雪の顔も、にじんで、みえる…
「言いなさい、ほら。
『お姉様』って」
「あ、あぅ…」
「早く」
「あ、あうぇいあわ」
従順に従うと、白雪は満足そうな手つきでリツの頭を撫で舌を解放した。
しらゆきの細い指は、リツの唾液にまみれてぐちょぐちょになっている。
汚いから早くふいてほしい、と思うのと同時に、ぞくぞくとした背徳感が押し寄せた。
白雪はすーっ、と下に向かってリツの皮膚の上を撫でていき、下腹部に到達すると下着を膝まで下げた。
リツは本当ならそれを拒絶したいのにパクパクとしか口を動かせず、やめてやめてと首をしきりに振った。
白雪は舌なめずりをした。
もぅだめだ、あれは本気で俺を犯そうとする表情だ、とリツは抵抗を諦め、ぐったりとベッドに身を沈ませる。
徐に白雪はリツの自身を掴んだ。
リツはびくともしない。
白雪がしなやかな動きで刺激すると、初心なそこはすぐに反応した。
白雪は手をとめず、一際強くそこを握り扱く。
するとそれはあっけなく飛沫を飛ばして達してしまった。
「ふ、ぅ…」
達したリツの体はびくびくと痙攣を続けている。
リツは強烈な快感に慣れていないのか、涙を流して眉を下げている。
白雪はさっき自分の手についたリツの粘液を後ろの穴に刷り込み、ぐっ、と指を入れる。
はじめはきつかったそこは前を触られながら少しずつ慣らされ、いつしかとろとろにされていた。
「あ、あっ、やだ、ねえ、さま」
頃合かと白雪が己の自身を散々慣らしたそこに宛てがうと、リツは思い出したかのように拒絶しはじめた。
それを見て白雪のソコはさらに膨張する。
「いくよ、」
「あっ、やだっ?!」
とんとん、と穴の入口を押していた自身がいきなりずん、と奥に入ってきて、リツは、はふ、はふ、と浅い息を繰り返す。
「あっ、あっ、あ」
全て中に収めると、思い切りそれを引き抜き、最奥を貫いた。
「あぁあっ、…んあ…やだぁっ、あっ」
ゆさゆさと揺さぶられながら喘ぐリツに唇を寄せ、白雪はピストンを繰り返した。
ぐったりと倒れ込み、瞼を閉じたリツを見て白雪はため息をついた。
ちょっと、やりすぎちゃったかな。
でも、どうにもあの夫とは合わないのだ。
真面目でいい人だけどロマンチストで、いつまでたっても自分のことを姫扱いするし。
でもリツは、リツだけは、いつも白雪の本当の姿を見てくれていた。
「どうやったらおとせるかな?」
白雪の呟きは、部屋の中に溶けて消えた。
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