お誕生日シリーズ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ぴぎゃああああ———!!」
我ながら、パーフェクト!
一分の隙もない見事なプランだわ。さすが、私。自分の天才的な発想に惚れ惚れしちゃう。これはもう、4月20日は貰ったも同然。パパがクソほど喜んで、死ぬほど私に感謝する画が目に浮かぶよう。
……って、折角、鏡で笑顔の練習しながらナルシストごっこしてたってのに。何事よ。
尋常じゃない末っ子の叫び声を聞いて馳せ参じる。パパとママと一緒に折り紙してたから、安心してお部屋に篭ってたんだけど。
「どうしたの!?」
折り紙はやめたらしい。いっぱい並んでいた鶴が一羽残らず掃討されてる。代わりに、リビングの床には手足を縮こまらせてうつ伏せになってる妹と、その隣で同じく伏せてるパパ。ママは——居ない。すぐに駆け付けて来ないところを見ると、お風呂かな? あれれ?
「何やってんの……パパ……?」
「なんもしとらんわ! 一緒に遊んでやるっつってンのに、チビチビと来たら……」
「あそばないもん! パパやだ!」
「やだ……!?」
あら、珍しい! パパ大好きな妹が一丁前に反抗してる!……と思って、ふと、気付く。
ちっちゃな身体の下からなんかハミ出してる。周りには散乱するクレヨン。お手てには一本だけ、他のより短くなってるオレンジ色。
あー、わかっちゃったかも。これ、アレだ。
「なんでよ? さっきまでママとお絵描きして遊んでたろ? なんでママは良くてパパとはやなんだよ?」
「……やだから!」
「はぁぁぁ!?」
やべぇ。パパがクッソ、ショック受けてる。哀愁漂わせちゃってる。
違うんだよ、パパ……そうじゃないんだよ……この子、パパにあげるのに絵を描いてんの。だから、何がなんでも見せらんないんだよ。
っつーか、なんでパパ居るのに目の前で続き描こうと思い立ったの? 画伯……頼むってぇ……!!
私の壮大なプランには画伯の渾身の作品が必要なんだってばぁ! まぁ、芸術に閃きと爆発は必要だよね。しゃあない。
「パパ、私が代わりに構ってあげるよ! ほらっ!」
「要らんわ! 何やっとンだ、名前!」
傷心のパパにウィンク。ママの真似っこ。
っつっても、何回やってもあの微妙な下手くそ感が出せない。逆に難しい。職人業としか言いようがない。永遠にこなれないフレッシュさがパパの男心を捕らえて離さないんだと思う。さすが、ママ。大爆殺神を射止めた女神。乙女のお手本として申し分ない。
一向に起き上がらず、大作を身体全体を使ってなんとしてでも隠し通そうとする妹に倣って、床とよろしくやってるパパ。そのパパの背中ってか、お尻に乗っかってやる。引き締まったいいお尻してるよね。
「あっ!? おまッ、年頃の娘がパパと馴れ合うんじゃねェよ!」
「なんで〜? いいでしょ? だってぇ、わたし、お友達になるならパパみたいな人がいいもん! 退屈しなさそう!」
「ンだ、それ! 普通、そこはお友達じゃなくて、結婚すんならってのが来ンだろが! お嫁さんになりたいって言うとこだぞ!」
それは、無理。できない相談。
私には焦凍さんという心に決めた人が居るの!
ダイヤモンドの原石よりも固い誓い故に、たとえ、パパに請われたって虚偽申告だけはするもんか。あと、正直、そうでなくとも無理。
同族嫌悪っての? 顔がママにそっくりな分、残念なことに性格はパパに寄っちゃってる……超が付く負けず嫌いだし? 我も強いし? ママを参考に表面上だけでも可愛くしようとエンジェルスマイルの研鑽に余念がないんだけど、天然モノには遠く及ばない訳。だから、恐らく、パパみたいなタイプとは相容れない。にゃんこを被るのをやめたら、ブッ殺し合いになる。
ぎゃあぎゃあ言いながらも満更でもなさそうなパパに気付かれないように、妹へ目でサインを送る。行くんだよ、仕舞ってくんの!
そこは私の妹でパパの娘。頭の回転が爆速。なんとなく察して、私の顔をじーっと見たのち、横目でパパの様子を気にし始める。任せろ、ねぇねぇが注意を引くからね! こうなったら、亀の親子しちゃお! 上体を倒して……ペタッ! それを確認してから、妹が起き上がって猛ダッシュ! 未完の名画を両手でしっかり握り締めて、おもちゃが置いてある奥のエリアに向かう。速い速い、いい子いい子。
「パパ〜、聞いて〜? 私ねぇ?」
「退け! 名前、お前、自分がいくつだかわかっとンのか!」
「んぅ? えっとぉ……高校生!」
「花も恥らえや! 当たってんだよ、背中に……!!」
我が親ながら、最低なこと言ってきやがる。
一般のご家庭だったら、父娘の絆が即ブレイクする案件だよ? 英才教育を受けてる私じゃなかったら、絶縁されてもおかしくないんだよ?
ママがなぁ、なんにもないからなぁ。きっと、弾力を受け止めることに不慣れなんだわ。パパったら、学生時代からママ一筋なんだもんね。知ってる? おっぱいってさ、柔らかいもんなんだよ……なんだかちょっとかわいそうになってきちゃう。パパはもちろんのこと、ママもね。
そこだけは心底、似なくて良かったと思わざるを得ない。よく「チビちゃんいいな〜、ママにも分けてほしいな〜」って猟奇的なおねだりされる。どんなに可愛らしく乞われても、物理的に無理だっての。
とりあえず、すっとぼけとこ。って、体勢を変えて当てないようにパパの背中にふざけて頬擦りしてたら、ギギギッとドアが嫌な音を立てる。見れば眉間に皺を寄せた弟が立っていて、目が合うなり、バンッ! ってわざとらしく閉められる。
きっと、チビチビが騒いだから、心配して覗きに来てくれたんだね。妹想いだわ〜、お姉ちゃんとして鼻が高いな〜。
「あいつ、顔やばくなかったか……?」
「そぉ? いつも通り可愛いお顔してたよ?」
間違いなく、当面の間、よそよそしくされる。……パパが。
私はもう開き直って大々的にファザコンやってるけど……その方がパパも喜ぶし? 同性だとそうもいかないんだろうなぁ。男の子って、ちょっと難しいとこあるよね。ほんとはあの子もパパのこと大好きなんだよ。だから、ヒーロー目指して努力してるし、今回のパパのお誕生日の計画にも乗り気だった。あの子だけじゃなくって、他の子もみんなそう。
パパの揺るぎない信念とママの途方もない頑張りでやたらと繁栄してる爆豪家だけど、大家族にもかかわらず、それはもう……仲良しこよしだよね! 私の自慢!
「あれ〜? さっき、元気な声がしてたけど、チビチビちゃんだいじょぶだった?」
「ママー!!」
髪の毛を乾かさないで出て来るほかほか湯上がりのママ。妹の声、ちゃんとバスルームまで響いてはいたみたい。
ママの声を聞き付けて、妹が駆け寄って来る。なかなか戻って来ないと思ったら……絵を隠し終えた後に、森のファミリーで遊んでたな? 右手にも左手にも全裸のうさぎのお人形。多分、お父さんとお母さん。全くこの子は、まぁた、住人の服なんか剥いで……もう! めっ!!
「違ッ! これは、違ンだって!」
「ふぇっ? 勝己くん、マッサージしてもらってたんじゃなくて?」
腰に纏わり付く妹の頭を撫で撫でしながら、ママがきょとんとした表情で言い訳がましい言い回しをするパパとにっこにっこの私の顔を見比べる。そして、極上のスマイル。
やり場のないパパの感情の矛先が床に向かって、バシバシッ! 手で叩いてる。
ハッ、わたしといちゃいちゃしてたらママが妬くとでも? そんな訳ないでしょうが。残念でした〜、ママは人間ができてるからそんな醜い真似しません〜、焼き餅大量製造マシーンのパパと違うんですぅ〜。
「なんでもいいから、こいつなんとかしてくれや! やめろっつってンのに、女子高生にあるまじき接し方してくんだわ……」
「ふふっ、勝己くんったら照れちゃって〜。チビちゃんがあんまり可愛くて、パパ冥利に尽きちゃうね?」
「るっせ! チェンジしろ!」
ご意向に添うように大人しく背中から下りたら、ようやくパパが立ち上がる。私の両肩を正面からしっかと掴んでくるっと回してママに押し付けて、代わりにママから引っ剥した妹を抱きかかえる。パパ、パパ! って今度はパパの首に纏わり付く妹。お人形、落っこちそう。
「うさちゃん、落とすなよ。落としたら痛い痛いで、かわいそうだかンな」
「うん! うさちゃん、ちゃんともってる!」
……その理屈だと、服着てないのも相当かわいそうじゃない? 夫婦共々、叡智を奪われた野生のうさぎと化してるよ?
パパに言われた通り、妹がうさちゃんらをしっかり握り直す。さっきまでのがなんだったんだってくらい、素直ちゃん。上機嫌。
「ったく。さっきまでの、なんだったんだ……」
私は理由、知ってるけどね! って、にやにや。
今日はパパが妹のお風呂係なんだ? ママの方針で我が家ではパパが居る時はパパを最優先するって形を取ってるから、稀なケース。まだちっちゃいのもあってパパ、ママ、妹の三人で入ることもあるけど、だいたいはパパとママの二人で入ってる。
そこはアレだよ。夫婦水入らずって言うの? 気を利かせてあげてる。スキマ時間にママとある程度いちゃいちゃさせてあげないとパパのテンションが目に見えて下がって来る。モチベ上げてもらわないと、平和な世の中のためにも!
「言ってくれたら私、今日もお風呂係したよ? 一緒に入れば良かったのに〜」
「いや。どっちみち入れねぇから」
「そうなの? ママ?」
「ん、んぅ〜……」
歯切れ、悪いな。
あっ、ひょっとして。
「アレだわ、アレ。乙女の——」
「やだぁ! 勝己くんっ!」
やっぱりだぁ。
ママがパパの服の裾を掴んでぷるぷる首を横に振ってる。私としたことが、余計なこと言っちゃった。ご、ごめん〜……。
そっかぁ。だから、バスタオル一丁で出て来なかったんだね。いつだったか長男と次男がなんだったかで喧嘩おっ始めて、びっくりしてママがあられもない姿でバスルームから飛び出して来たことあったんだけど、立ちどころに鎮火したよね。で、妙な空気になった。幸い、パパが不在だったから良かったものの、想像したくない。絶っっっ対、面倒っちいことになってた。
だいたいにして、妻への愛が深過ぎるんだよ。あまりにも深過ぎて結婚してこの方、一度も女性関係で週刊誌の砲撃食らったことないっていうじゃん。すげぇ。ダイナマイトのくせに、そっちの炎上とはことごとく無縁なの。
私と妹がママとくっつくのは写真撮影されてアルバムまで作られるくらいには存分に許されてるのに、弟たちには同性だからか何かとシビアなんだよね。一様にママとは適正距離保てって謎の教育を施してる。一体なんの心配してんの、パパ……そういうことすっから、逆にみんなマザコンになっちゃったんじゃないの? そんで、ママの代わりに私が弟たちにちやほやされてさ? あの子もその子も、可愛いったらありゃしないよね〜。クソ可愛い〜。
「ヘソ曲げんなって」
「ふぇぇ……恥ずかしいこと、言わないでよぉ〜」
「謝っから。チビたちの前で悪かったわ」
「もう〜、勝己くんったら。ビッグなラブに免じて、許しちゃう!」
とかなんとか甘い空気を醸し出し始めるらぶらぶ夫婦……あのぉ、私も妹もここに居るんですけど……二人だけの時にやれっての……うん、いっかぁ! いつものことだから!
——ということは? お誕生日当日は大丈夫ってことね? よしよし、また、私の計画の不安要素が一つ、排除されたな。楽しみに待っててね、パパ。当日はド肝抜いてあげる!
お誕生日当日。
深夜からどんちゃん騒ぎ!
日付が変わった頃にお疲れで帰って来たパパを起きてた面子だけでまずお祝い。パパの面食らった顔、面白かった〜。
「早よ、寝ろ!」って言う割にママと私だけじゃなくて上の弟が起きてて待っててくれたのが相当嬉しかったみたいで、照れくさそうにしてた。たまたま起きてただけとか空気を読まずにツンツンし始める弟の頭に「そうかよ」って手を乗せようとして、思いっきり払われてた。
お年頃なのはわかるけど、マジで空気読めよ。欠伸なんか噛み殺しちゃってさぁ。眠気堪えてんのバレバレなのにさぁ。
険悪なムードにならないかハラハラしてたら、ママが「代わりにわたしがいい子いい子しとくね!」とかなんとか弟の頭を撫で撫でし始めて、ああ、意味わかんないけど和む〜……って油断してたら、パパが不貞腐れ始めるっていう良くない流れ。息子に嫉妬すんなっての。
まあ、背ぇ伸びてきて、だんだんと顔付きも大人っぽくなってきてるからね。贔屓目に見てもイケメン。パパの遺伝子継いでんな、って感じ。敵対心燃やすの、わからなくもないけど……いや、やっぱ、わかんね。私、ファザコンだけじゃなくて、重度のブラコンとシスコンと、あと、マザコンでもあるから。弟がクソほど可愛いから。その弟が大好きなママと仲良くしてるの見たって、ほっぺたゆるゆるになるだけ。……もうこれ、ファミコン? って自称すりゃあいい?
朝は朝で、誰よりも早く出勤するパパをお見送りするのに家族総出でおはようとおめでとう!
人数が増えた分、賑やかさも増す訳で、「朝っぱらから揃いも揃って……」って喜びを隠し切れないパパ。妹が先陣を切って「パパ! おたんじょーび、おめでとお!」って手渡した超大作に感極まってた。計画通り。
中央にオレンジ色のでっかい丸が描かれていて、それを取り囲むようにカラフルな大小の丸。一家団欒の絵であることは明らかなんだけど、何度数えてみても、一つ、人数分より多い。「間違ってない? 大丈夫?」って確認したら、「くるから、だいじょぶ!」ってことだった。やめてよ、なんか怖いじゃん。その幼い瞳に何が映ってんの? 未来予知? うっそ、まだ増えんの……???
確かに、うちには謎の空き部屋がある。昔はもっといっぱいあった。年々、子ども部屋として埋まっていって……遂に、ラス一。私がひとり立ちするのとそっちが埋まるのとどっちが早いかって話。
ママがパパに行ってらっしゃいのキスを贈呈するのを全員で盛り上げて、囃し立てた。「やかましいわ! さっさと支度しろ! お前ら、遅刻なんかしたら小遣い減額すっからな!」って照れ隠しに吠えるパパに大ブーイングの嵐。一斉に指を下に向ける弟たちに、「やめろや! そんな風に育てた覚えはねェ!」って感動が台無し。ママだけが終始、幸せそうに微笑んでた。
そんなママに私も念押し。
ママの短所は数あれど、どれも愛嬌って言っちゃえば長所と言えなくもない。誰であろうと懐柔する魔性の愛されキャラ。やっぱ、ヒーローって何かかしら特別なもん持ってないとなれないよね。二人を見てるとしみじみ思う。
ただ、時間にルーズなのだけはよいしょできない。明らかな欠点。
「前髪が決まらなくって……」ってすぐ言い訳するママを「可愛くできてっから許す」って毎回不問にしちゃうパパにも問題あると思う。甘やかし過ぎ。
「時間までにちゃんとすんだよ? 美容室、遅刻厳禁だからね?」
「はーい! チビちゃん、すっかりお姉さんだあ。しっかりし過ぎて、ママよりママみたい〜」
「あのねぇ……ママ、しっかりしてよぉ……」
あまりにも呑気で、とても元ヒーローとは思えない。ママがパパと緊迫した現場で並んでる図とか想像しろっていう方が難しい。申し訳ないけど、笑っちゃう。
「でも、ほんとにいいの? パパのお誕生日なのにママのお誕生日みたいだよ?」
「いいんだって。一番合理的なプレゼントなんだから!」
「ママのためにありがとうね、チビちゃん」
「パパが嬉しいとママも嬉しい! ってヤツね?」
「そう! だから、とっても嬉しいな〜」
その理屈で、パパにママとのとっておきのひとときをプレゼントしようっていう魂胆。ママを幸せにしてパパにも幸せになってもらおうって寸法。
みんなでお小遣いを出し合って、格式高い人気ホテルのディナーにご招待。めいいっぱい楽しんでほしいと思って、飲んでも大丈夫なように死ぬほどイチャついても支障が出ないように、わざわざお泊りのプランを組んだ。
ママにはこれからドレスアップしてもらって、心してお食事に臨んでもらう。だてに長女やってないから、パパ好みのお洋服を見繕うのなんて朝飯前よ。骨抜きよ。
抜かりなく、中までばっちり! これは男の子だらけな手前、オフレコ。ママと私だけの秘密。結局のところ、それが一番悦ぶって結論に辿り着いた。世にもエロティックなの。エロじゃないの、お上品にエロティックなの。「わたしより、チビちゃんが着た方がいいと思う……」って弱気なママを説得するのは骨が折れた。
逆に、難航するんじゃないかって危ぶんでた妹の説得はすんなりいった。「パパはいっつもいないけど、ママも? よる、ママもいない?」って不安そうにする妹に切島さんとお喋りする権をチラつかせて買収。パパにお誕生日プレゼント用意してくれたらしくて、仕事帰りにうちに寄ってくれるってことだったから。渡りに舟。
ママとわたしと妹と、顔はそっくりなのに三者三様で好みのタイプが全く違うのが面白い。被ろうものなら、たとえ妹であっても、容赦できなかったかもしれない。って、弟たちと張り合ってるパパと同レベルじゃん。やだぁ〜、血は争えない……。
血で血を洗う事態を免れたのは、わたしが焦凍さんに懐いてるのが面白くないパパが妹を懸命に遠ざけてくれたお陰。瞳をキラキラさせながら抱っこしたがる焦凍さんを狂犬よろしく威嚇して、切島さんに「ぜってェ渡すなよ!」って預けてたっけ。そのかい虚しく、妹は切島さんにコロッといったんだけど。要は懐く相手が変わったってだけ。
早退するくらいなら、最初っから丸一日休み取りゃあいいのに。お仕事とママの狭間で揺れたんだろうね。いかにも、勤勉なパパらしい。
私も他の子も学校があるから見届けることは叶わないけど……パパにとって、最高のお誕生日になりますように!
……えっ? バイトもしてないのに、どっからそんな費用捻出したのかって?
パパには口が裂けても沈黙を貫きたいところなんだけど。私、ママから長女特権でちょびっと多めに貰ってるんだよね。まあ、これは薄々気付かれてるだろうから、目を瞑ってもらってるとして。
実は、焦凍さんからもすっごい額、貰っちゃってたり。お年玉とかお誕生日祝いとか進級祝いとか、何かにつけて、大盤振る舞い。
その、勿体なくて長らく手付かずだった大事な大事な焦凍さん貯金から崩してる訳だから、パパには私の愛をめっちゃ感じてほしい。身に沁みてそれはもう感じ入ってほしい。
そういう意味で、パパ活! もちろん、『実のパパを全力で推す活動』の略ね!
たとえ、とっくにお祝いされて嬉しい歳じゃなくたって、おめでとう! 世界で一番……いや、うーん、どぉしよ……焦凍さんが居るから……うんっ、二番目! に、かっこいいパパ!! ごめんね、私、正直者で! パパの娘だから、猪突猛進なんだぁ! てへっ♡♡♡
2024.05.13(初出 2023.04.20)
1/8ページ